【プロセカ】イベントストーリー「走れ!体育祭!~実行委員は大忙し~」(第3話)
プロセカで過去に行われたイベントストーリーの書き起こしです。
今回は第3話。
ここまでのストーリーはこちらから。
実行委員の顔合わせから数日後、遥とえむは提案の準備に取り掛かっていた。
「体育倉庫にとうちゃ~く!」
「体育祭の競技に使えそうな道具、何か見つかるといいね。それにしても、体育館だけじゃなくて、校庭の隅にも体育倉庫があったなんて、知らなかったな」
「あ、遥ちゃんはここ、初めて来たの?」
「うん、鳳さんは、前からこの体育倉庫のこと知ってたの?」
「うん! 入学式の日に探検してて見つけたの! その時も入ってみようとしたけど、鍵がかかってたんだ。だから、壁を伝って、上の窓まで登ってーー」
「え? 窓って・・・・・・ あの屋根あたりにある窓のこと?」
「そう! でも、登ってたら先生に見つかって怒られちゃって・・・・・・ だから、ちゃんと入るのは初めてなんだー!」
「そうなんだ・・・・・・」
(・・・・・・簡単そうに言ってるけど、あの窓、2階建ての家の屋根くらいはあるよね・・・・・・)
えむの大胆な所業に遥が胸のうちで驚きつつ、体育倉庫に入る二人。
「あ、開いた開いた! 遥ちゃん、鍵開いたから入ろ~!」
「うん。中は暗いから、足元に気をつけてーー」
「あーーーー!!!!」
「ど、どうしたの!?」
「見て見て遥ちゃん、竹の棒があったよ! これで棒取り合戦が復活できるね!」
「なんだ、びっくりした・・・・・・ 竹の棒でそこまでテンション上がる人、初めて見たかも」
えむのテンションに驚かされ続ける遥だったが、当のえむはそんなことは微塵も気にしてない。
「む? これってなんだろ?」
「これは・・・・・・昔のクラス旗? 結構こってるね」
「ほんとだ! 模様とか、イラストとかおしゃれだねーっ。こういう旗、ショーでも使えたら楽しそう! 一番盛り上がるシーンで、ばばーんって使って・・・・・・」
「ショー? そういえば、最初の話しあいの時もそんなこと言ってたね。ショーが好きなの?」
「あれ? 言ってなかったっけ。あたし、フェニックスワンダーランドのショーステージで、キャストやってるんだ! お客さんを笑顔にしようって、毎日、みんなでがんばってるんだよ~♪」
「お客さんを笑顔にしよう、か・・・・・・。素敵な目標だね」
「うん! すっごく楽しいショーを作ってるから、よかったら、遥ちゃんも見にきてね!」
「ふふ、鳳さんがやるショーなら、すごく楽しそう。予定あけて、必ず行くね」
「本当? ありがとう~~!! あ! でも今は、体育祭に使えそうなものを見つけないとだった! 探そう、遥ちゃんっ!」
「うん、そうだね。面白い競技ができそうな道具、あるといいけど・・・・・・」
さらに数日が経ち、咲希は先輩の実行委員のところに足を運んだ。
「あの、すみません! 体育祭の案内のプリントを作ったので、見てもらっていいですか?」
「ええと・・・・・・。”今年は去年と違い、全学年が一緒に競技を楽しむ体育祭となります”―― ・・・・・・結局、どの競技をやるのか、目処はついたんですか? 競技ごとの参加者もリストにまとめる必要があるので、それについても書いておかないと」
「あ、えっと・・・・・・」
先輩実行委員の問いかけに対して返答に窮する咲希。そこへえむがやってくる。
「はいはーい! 競技はバッチリ決まりそうですっ!」
「わ、えむちゃん!?」
「えへへっ♪ この前、遥ちゃんと体育倉庫を探してみたんだ~。おもしろそうな道具、いっぱいあったよ! それでね、今、遥ちゃんと一緒に昔のしおりを見ながら競技をアレンジしてるの!」
「アレンジ・・・・・・?」
「はいっ! 忙しくってあんまり練習できない子も楽しめる競技にしたくって! 今日もこれから、遥ちゃんと一緒に考える約束してるんですっ」
「えっ、もう日も傾いてるのに・・・・・・これから?」
「そういえばはるかちゃん、最近遅くまで残ってるみたいだったけど・・・・・・ えむちゃんと競技を考えてたんだね」
「うんっ!」
「・・・・・・そうだったんですね・・・・・・」
「えへへ♪ 次の話しあいには、みんなが笑顔で楽しめちゃう競技をい~っぱい持ってきます! それじゃあ、いってきまーす!」
「・・・・・・・・・・・・」
遥とえむのがんばりに、感じるところのある先輩実行委員。えむはまっすぐ遥の待つ教室へと向かった。
「ふう・・・・・・これで全部だね」
「うんっ! どの競技も、とーっても楽しそう~☆」
(競技はなんとか決まったけど・・・・・・、今度は参加者リストを作らないと。競技別に全学年分のリストが必要なんだよね。これはちょっと大変そうだな・・・・・・。・・・・・・でも、自分で言いだしたことなんだし、責任を持って、頑張らないと――)
一つの山を越えて、次の山へと気持ちを向ける遥。作業量に不安を感じるけれど、持ち前の責任感で押さえ込む。
「この競技だったらきっと、何年生でも、運動苦手な子でも、み~んな笑顔になれちゃうねっ! 遥ちゃんっ!」
えむの天性の明るさ、前向きさが遥の気持ちを楽にする。
「・・・・・・ふふ。そうだね。頑張ろうね、鳳さん」
遥とえむが競技のアレンジを終えた翌日。
「はるかちゃん、これ! 参加者リストだよ」
「えっ・・・・・・天馬さん、作ってくれたの? しかも全競技分・・・・・・。これ、すごく大変だったでしょう?」
前日、自分でも作業量に不安を感じたからこそ、咲希を案じる遥。
「あ、アタシひとりで作ったわけじゃないよ! 実行委員の先輩達も手伝ってくれたんだ」
「え、そうなの? でも、みんな忙しいから時間はとれないって・・・・・・」
「みんな、はるかちゃんとえむちゃんががんばってるから、自分もって思ってくれたみたいだよ。体育祭に出る全員が、み~んな笑顔で楽しめるようにって!」
「あ・・・・・・!」
「だからきっと、今年の体育祭は盛り上がると思う!」
「そっか・・・・・・よかった」
「あ! 遥ちゃーん! 玉入れの玉、かわいくできたよ~♪」
「わあ・・・・・・! ピンクとか青もある! すっごく可愛いね!」
「えへへ~♪ 入れる時に楽しくなるでしょ~?」
「ふふっ」
「・・・・・・あ! あたし今日、二人三脚の練習があるんだった!」
「二人三脚って・・・・・・たしか今年のは、先輩達と一緒に走るんだよね?」
「うん。普段あんまり交流できない先輩達とも一緒に練習できるようにって思って」
「ちょっと行ってくるねー!」
「わかった。練習、頑張ってね」
練習に向かって駆け出していくえむを見送りながら、実行委員の先輩達の協力も得られて、体育祭が楽しくなりそうな予感に包まれる遥だった。
==続く==