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【カンボジア】IMF担当者が語るカンボジア経済の展望

半年毎に経済成長見通しの大幅アップデートを行なっているIMF。4月に発表されたレポートでは、カンボジアの2022年成長見通しを5.1%としました。

2月の小幅アップデート時には5.6%と置いていた見通しを引き下げた格好になりますが、その辺りの背景について、地元英字媒体のThe Phnon Penh Post紙がIMFカンボジア担当者へのインタビューで掘り下げています。

www.phnompenhpost.com

 

 

カンボジア経済の牽引役

カンボジアは人口が1,600万人強の比較的小さな国なので、内需には自ずと限界があります。従って、経済を牽引する主な産業は、輸出を主とする製造業、特に縫製業だったり、外国人訪問者に支えられる観光業といったところになります。

また、コロナ禍において減少を余儀なくされましたが、外国資本の直接投資も多い不動産及び建設業も、インフラストラクチャーの整備や増加する人口に支えられた堅調な住宅需要によって重要な牽引役となっています。

 

カンボジア経済を取り巻くリスク要因

カンボジアに限りませんが、食料品や資源(エネルギー)の価格上昇が経済にもたらす影響は引き続き注視が必要です。それに加えて、2月からのウクライナでの紛争による影響も不確かさが大きく注意が必要です。特に、カンボジアの場合は欧州への輸出も重要な柱の一つなので(FTA絡みで別途国内的には騒がしいですが)、特に欧州の需要動向に対する影響が見過ごせません。また、中国が引き続き厳しいコロナ関連規制を続けている影響で、製造業などの調達や物流にも影響が出ています。世界的に中国のプレゼンスは高まり続けていますが、カンボジアにおけるプレゼンスは群を抜いているレベルに達しており、影響は大きいです。

こうした国外の動きに加えて、国内的には貧困層に対する補償や支援といった取り組みがどこまで為されるかも注視しておきたい項目。特に、生活必需品の値上がりなどに対して何かしらの取り組みがなされるか否か。個人的には不動産市場への影響だったり、金融市場(この層はローン市場へのアクセスが限られるとはいえ、消費者金融的な機関からの債務が増えてしまう可能性はある)への影響といった点が気になります。


カンボジア金融市場におけるデジタル化の進展

経済全体の話から少し離れているように感じますが、コロナ禍においてカンボジアでのデジタル決済プラットフォームの整備・浸透は進みました。

中央銀行主導で導入されたBakongという決済プラットフォームについては、以下の記事で紹介しています。

chimigaki.hatenablog.com

まだ仮想通貨に関する取引などが制限(禁止)されていたり、法整備が追いついていない点などがありますが、この辺りをIMFとしてもサポートすることで、カンボジアの金融分野におけるDXが進んでいくことは経済にもプラスになりそうです。