知磨き倶楽部

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【日本】J-REITは伝統的な資産よりも良い

マレーシアの金融専門媒体であるThe Edgeで日本のJ-REITに関する記事を見かけましたので、これをきっかけにして東南アジアのREIT市場についておさらいしておきたいと思います。

 

www.theedgemarkets.com

記事の概要

記事はBrrombergに掲載されたものを元にしていますが、マレーシアでわざわざJ-REITが取り上げられるというのも珍しい気がしたので目に留まりました。

GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人:Government Pention Investment Fund)の方が組織ではなく個人的見解として発行したというレポートが基になっているようですが、普通にウェブで見られるのでしょうか(簡単に検索しても見つからない)。

今年(2021年)に入って、REIT指数は東証TOPIXよりも良いパフォーマンスを示しており、伝統的な株式や債券という投資商品よりも良いという内容です。淡々とした内容ですね。

 

東南アジアのREIT

マレーシアの媒体ですが、Broombergからの単純な転載のためか自国や周辺国のREITには触れてくれていないのが残念です。せっかくなので自分のアップデートのためにも軽くおさらいを。

シンガポール

金融ハブとして域内でも最大規模の株式市場を有するシンガポールでは2002年からREITが市場に上場しており、S-REITと呼ばれています。割と早い時期から海外の不動産の組み入れたREITも登場していて、今年も日本の不動産をシンガポールREITが取得するというニュースがありました。

prtimes.jp

マレーシア

マレーシアも東南アジアの中では早くにREIT市場が整備された国で、2005年からREITが上場しています。こちらはM-REITと呼ばれます。

ただ、シンガポールに比べると上場REIT数も少なく見えますし、それぞれのREITの規模も小ぶりな印象です。日本で話題になることも少ないと思います。

タイ

タイは2014年からREIT市場がスタートしました。前記の2国に比べるとだいぶ新しいです。検索しても全く引っかかってこないところを見ると、T-REITという名称は使われないようですね。

マレーシアに10年ほど遅れて始まったタイのREIT市場ですが、市場規模はあっという間に追いついた印象です。上場数はタイの方が多く選択肢は多そうですね。

インドネシア

法整備自体は比較的早く進んで2007年には制度ができていたのですが、税務面などで投資家にとって魅力がなかったことなどもあり、しばらく上場REITが出ず、実質的には2012年からのスタートとなりました。

ただ、現在も上場REITは3つと少なく、市場としては停滞している印象です。

ベトナム

ベトナムもTrsutの仕組みとは若干違うものの、REIFという仕組みでほぼREITと目される仕組みが存在します。ただし、市場はまだまだ未成熟です。最初のREITが2015年に上場して以来、それに続く上場がありません。

フィリピン

フィリピンも以前からREITの仕組み自体は存在しましたが、使い勝手が悪く長らく上場するREITは存在していませんでした。法改正を経て、2020年に初めてのREITが上場し、2021年にもいくつかのREITが上場を予定しています。

www.pna.gov.ph

ミャンマーカンボジアラオスブルネイ

残りの4カ国についてはREITの仕組みは存在していません。ブルネイに至っては株式市場も存在しないため、当面可能性としても考えられないと思います。

ミャンマーは国内政情が不安定ですし、そもそもこれらの国はまだまだ株式市場自体が未成熟だと言えます。ただ、不動産投資としてはミャンマーカンボジアは外国人にも魅力的な提案がなされてきたこともあり、REITの仕組みは外国人からの投資を呼び込みやすくする方法としてはあり得るんじゃないかとも思いますが。。

 

まとめ

以上、簡単ではあるものの、ASEAN各国におけるREIT市場の現状を簡単に見てみました。それぞれ投資機会は相当限られますが、日本国内の証券会社で買える銘柄も存在していますので、海外不動産投資の入り口的に、REITという道もあり得ると思います(個人的には、あんまり「不動産」という気分にはなり難いのですが)。

 

今度は、最近出版された、こんな本を読んでみようかなと思っています。この種の本は目に付くとどんなこと書いてあるのか気になって読み漁ってます。