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【マレーシアニュース】シンガポールとの陸路国境再開はジョホール州の感染状況次第

シンガポールと隣国マレーシア(ジョホール州)との間は、二本の橋で結ばれています。ジョホール州の中心市街地に近いウッズランドは、歩いても渡れるほどで、通勤時間帯などで車の列が止まってしまうような際には、多くのローカルの方々が歩いて渡っているのを見かけたものです(僕も経験あります)。

 

それだけ気軽に国境を越えられるということもあり、ジョホール州からシンガポールに毎日通勤する人の数も相当なのですが、現在、新型コロナウイルスの影響でこの動きが出来なくなっているそうで。

今日は、過去に歩いた経験を思い出しつつ、記事を読んでいきます。

www.channelnewsasia.com

マレーシアの新型コロナウィルスの状況 

マレーシアは現在、新型コロナウィルスの国内感染拡大に襲われており、6月1日から6月14日までの3度目の全国的なロックダウン状態になっています。

あまり追いかけていなかったのですが、2021年1月31日の5,728人をピークに減少を始め、2021年3月30日には970人と1,000人を切る水準にまでなっていましたが、その後再び増加傾向に転じ、2021年5月30日には新規感染者数9,020人、新規死亡者数97人と、共に最多を記録しています。

covid19.who.int

シンガポールの新型コロナウィルスの状況

一方でシンガポールは当初から感染抑制に成功している国の一つとして取り上げられることも多く、出稼ぎ労働者の集団感染に端を発するロックダウンなどはありつつも、ワクチン接種も順調です(東南アジアでは接種率第一位)。

今でも厳しい入国制限を敷いており、新規に駐在員を派遣することも難しいような状況(入国の許可が出ない)という日本での報道もありました。

covid19.who.int

在りし日のジョホールバルシンガポールの関係 

ジョホールにとっては、シンガポールと陸路で行き来できる環境は非常に重要です。多くの住民がシンガポールに毎日通勤していたこともありますし、週末にはシンガポールからゴルフをやりに来たり、買い物や食事を楽しむために訪れる人たちがいて、経済活動を支える重要な要因であったことは間違いありません。

 

取り上げている記事の内容とは関係ありませんが、僕の専門分野で言うと、ジョホールバルの不動産市場もシンガポール人による投資の影響を大きく受けていて、マレーシアの首都クアラルンプールと比べると、市場動向・サイクルにも大きな差がありました。(新型コロナウィルスに関係なく、中国資本による大規模な開発が招いた急速な供給過剰懸念によって、市場としては沈んでしまいましたが)

 

また、ずっとシンガポールのMRTがジョホールバル中心市街地辺りまで延伸されるという計画があったり、シンガポールとクアラルンプールを結ぶ高速鉄道の計画があったりして、非常に結びつきが強いです。歴史的にもシンガポールはマレーシアの一部としてジョホールの王様が管轄していたという経緯がありますしね。

(どちらも遅々として進んでないように見えますけど。MRTの延伸は、当初2018年には完成する予定だったはず)

往来再開の議論はジョホールの感染状況次第 

記事によると、シンガポールとの国境再開はジョホール側の感染抑制次第のようです。そりゃそうだよね、という感じではありますが、まずは感染抑制をして見せないと、シンガポール側が議論の土俵にも上がってくれないと。

 

ただ、感染抑制には時間がかかります。切り札としてはワクチン接種を進めることが第一で、10月までにジョホールの80%の人がワクチン接種を受けられるようにしたいとのことです。

それ以外にも、シンガポールへ働きに行く人10万人ほどを優先的にワクチン接種することも計画しているようです。

 

通勤のための国境再開は道通しの感じはありますが、記事ではジョホール側の要望として、シンガポール入国時の21日間の隔離期間中の費用負担についても触れています。シンガポール国内に留まって勤務を続けるマレーシア人も、90日以上連続で働くと一度マレーシアに戻れるという仕組みがあるようなのですが(これ、記事読んでるだけではよく分かりませんが)、この人たちを対象に何とかしてくれないかと。

 

ちょっと記事の記載を転記してみます。

Malaysian workers in Singapore who hold long-term immigration passes are allowed to apply for short-term leave after working in Singapore for at least 90 consecutive days.

However, some have expressed concern about the cost of serving quarantine when entering Singapore.

Last month, Singapore announced that those with recent travel history to higher risk countries and regions, including Malaysia, will have to serve a 21-day stay-home notice at dedicated facilities with effect from May 8.

For those serving their 21-day stay-home notice at dedicated facilities in Singapore, the Immigration and Checkpoints Authority website shows a cost of S$3,000 for accommodation and food for a single adult. This excludes the costs of PCR tests.

Additionally, these commuters are also required to serve 14 days of quarantine when entering Malaysia, where they would be charged a maximum of RM150 per day.

シンガポール側に求める以上、マレーシア側での費用負担の発生はマレーシア側で何とかするのでしょうが、この点については記事中に言及がありません。

マレーシア人労働者というのは、シンガポール経済にとっても重要な位置づけにあるらしいので、程よいところで落とし所が見つかるといいのですが。

まとめ(というか願望を)

朝夕の通勤時間帯のウッズランドの渋滞は、なんと言うか風物詩的な記憶なのですが、新型コロナウィルスでこの景色も様変わりしてしまっているのでしょうね。歩いて渡る云々どころではありません。

僕の記憶にある、活発な往来で賑わうウッズランドが戻ってくることを願いながら、またシンガポールにもジョホールバルにも行きたいなと思います。