知磨き倶楽部

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【APAC】主要4都市の住宅価格情勢 ー 2021年7月データ

普段僕は、日本人の目から見て不動産投資のしやすそうな東南アジア諸国のニュースを中心に追っかけています。具体的には、マレーシア・タイ・カンボジア・ベトナムですね。その他の国も拾いますが、この4つの国に比べると少し落ちる感じです。

 

それでも時々は、主に投資金額の面で、ちょっと一般的なレベルでの観点からは投資対象として考えにくい国の動向も見ておきます。これらの国の個人投資家が、僕が関心を持っているにも少なからず投資を行いますし、その動向には彼らの自国の市場の動向も影響してきます。

 

今日はアジア太平洋(APAC)の主要4都市の住宅価格情勢に関する記事を読んでいきます。

www.cnbc.com

英単語メモ

abate

やわらげる、弱める、排除する

to become less strong; to make sth less strong 

 

比較の対象

元記事では、シンガポールシドニー・ソウル・台北の4都市を取り上げています。どの都市も「住宅価格が高い」というイメージがある都市です。

それぞれ、各都市の大手ポータルサイトのデータを使って分析しています。

1ベッドから4ベッドの各部屋タイプ毎に、ポータルサイトにリスティングされている住宅の中央値を比較しています。

一時点における中央値の比較では、ソウルと同額となった2ベッドを除いて、どの部屋のタイプでもシンガポールが一番高いということが示さされています。

 

シンガポールの情勢

シンガポールは1ベッドルームの中央値が約90万ドル 、2ベッドルームが約120万ドル、3ベッドルームが約190万ドル、4ベッドルームが約310万ドルとなりました。

2ベッドルーム以下の価格は落ち着いているようですが、3ベッドルームでは年率5%程度の価格上昇が見られたとのこと。新型コロナによりWFHの機会が増えたことにより、住居選びの際に「広さ」がより重要視されるようになった、と分析しています。

ただし、4ベッドルームにまでこの傾向が拡大されているわけではなく、4ベッドルームでは価格が低下したケースも。さすがに高額なので、買い手に対して魅力的な条件をを提示しないといけない場合もあるように見受けられます。

 

ソウルの情勢

ソウルもシンガポールに次いで住宅価格が高いです。1ベッドルームの中央値が約50万ドル 、2ベッドルームが約120万ドル、3ベッドルームが約160万ドル、4ベッドルームが約200万ドルとなりました。

ソウルでもシンガポールと同じく、1ベッドルームの価格上昇幅は大きめの住居に比べると小さかったようです。WFHの影響を受けてか、「Officetel」と呼ばれる住居と商業を組み合わせたような住居も8%程の価格上昇を見ています。

住宅価格が上がり続けている背景には、低金利で借入ができること、住宅以外の投資先が足りていないことが挙げられています。韓国政府はこの状態に懸念を持っており、先週公定歩合を引き上げ沈静化を図ろうとしていますが、市場関係者は今回の利率引上げだけでは状況は変わらないと見ているようです。

 

シドニーの情勢

シドニーは1ベッドルームの中央値が約50万ドル 、2ベッドルームが約60万ドル、3ベッドルームが約80万ドル、4ベッドルームが約100万ドルとなりました。

傾向としては前述の2都市と同様、1ベッドルームや2ベッドルームよりも、3ベッドルーム以上の住居の方が価格の上昇率が高くなっています。

オーストラリアの一般的な分類が分からずに混乱しているのですが、一般的に広さが重要視され始め、かつapartmentよりもhouseの方が価格の上昇が高いということのように見えます。(単なる言いかえなのか、分類上別のものを指すのかが判別つきません)

この動きを牽引してきたのは、自己使用を前提とした購入者だったとのことです。これまで様子見をしていた投資家が最近戻り始めたというコメントもありますので、価格の上昇はまだ続きそうです。

 

台北の情勢

台北は1ベッドルームの中央値が約40万ドル 、2ベッドルームが約60万ドル、3ベッドルームが約80万ドル、4ベッドルームが約110万ドルとなりました。

こちらも全体平均で年率4.5%の上昇ですが、新しい住居に限定すると、10%以上の価格上昇を見ています。

ソウルと同じく、低金利で借入を行えることが一つの要因ではありますが、台湾には他国にない特殊事情があります。 それは中国からの流入。米中貿易戦争の影響で、中国のテックカンパニーは様々な懸念に直面しており、こうしたテックカンパニーが中国から台湾に移ってきていることが不動産価格の上昇の一因となっていると分析しています。

 

まとめ

今回元記事で取り上げられていた4都市では、新型コロナの影響下にありながらも、住宅価格は足元上昇している、また、より「広さ」を重視して住居を選ぶ傾向になっていることが示されています。

気になるのはパンデミック前との比較がない点ですが、これはまたどこかで情報は探してみたいです。

 

また、主要都市として外せないように思える香港が含まれていないのも意外でした。中国による規制の強化で、一国二制度の保持が懸念され、香港から資本を海外に移したり、移住したりという動きも出てきているやに聞いていますし、昨年はかなり不動産価格も落ち込んだ(その前のデモが過激化した頃から影響出ていましたが)とも聞いています。

僕にとっては、投資対象の市場として見られる都市ではありませんが、引き続きアンテナは張っておきたいところです。