知磨き倶楽部

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【カンボジア】2022年1月から譲渡益課税を導入

新型コロナの影響で発効が延期されていたカンボジアにおける不動産等の譲渡益課税ですが、カンボジア政府は2022年1月から以前のアナウンス通りに導入を予定しているようです。

 

今日は、譲渡益課税導入の記事を読みながら、以前に発表のあった課税の内容を見ていきます。

www.khmertimeskh.com

英単語メモ

levy

1、(税などを)課する、(税を)徴収する、取り立てる(on, upon)

2、(戦争を)始める(upon, against)

3、(兵隊を)召集する、徴集する

to use official authority to demand and collect a payment, taz, etc.

ここではもちろん1の意味ですが、僕の手元のOxford Advanced Learner's Dictionaryには2と3の意味の記載がなかったです。

 

経緯

カンボジア政府は2020年4月1日に法案を承認し、同年の2020年7月1日から不動産等の譲渡益に対する課税を開始する旨決定していました。

ただ、新型コロナの影響で、特に外国人投資家の投資が減少したことから不動産市場が活況を失ったために、2021年1月まで導入を延期することを決め、さらに2022年1月へと延期してきました。

まだ外国人投資家が戻ってきたとは言えない状況ではありますし、不動産市場は厳しい状態が続いている中、年内での不動産流通を起こすためでしょうか、2022年1月には導入するのだという発表に至っています。

 

課税対象

以前に発表のあった際の内容をおさらいしておきます。

不動産の所有権だけではなく、賃借権や会社の株式・社債、許認可等の「のれん」、知的財産、外貨の取引から生じる譲渡益が課税の対象です。とはいえ、大きな目的は不動産にあるであろうと思われますし(元記事も不動産市場について言及しています)、以下、不動産所有権の売買を前提にまとめます。

 

「譲渡益」の算出については、売買代金の80%を取得価格と看做す方法と、実際の取得価格及び売却に係った経費を基に譲渡益を計算する方法のどちらかを選べるようです。個人間売買だと昔の契約書とか保管していない(あるいは、そもそも契約書なんて存在しない)ケースが多発するからだろうと思われます。

なので、大儲けした場合は看做し譲渡益を計算し、大して儲からなかった(あるいは損をした)場合は、きちんと書類を整えて実際の譲渡益を申告することになりそうです。

 

なお、売主が、居住・非居住を問わず、カンボジア人であっても外国人であっても対象になります。

 

課税内容

譲渡益に対して20%の譲渡益課税が課されることになります。

売主は、譲渡から3ヶ月以内に納税する義務を負うとのことですが、納税を怠ると売買(所有権の移転)が無効になるそうなので、法律の規定がどうであれ、買主側が売買代金から源泉して納付するという運用になるのではないかと推察します。

投資したタイミングには存在しなかった話だという方も多いと思いますが、最大で売却代金の4%(看做し譲渡益20%に対して20%)が課税されると考えておく必要があると思われます。

 

免税措置

いくつか免税になる場合がありますが、非居住の外国人の場合、該当する項目は「政府に召し上げられた場合」以外はありません。通常、非居住の外国人が投資しているのはコンドミニアムでしょうから、該当することはないと思って間違いないと思います。

ちなみに「5年以上自宅として使用していた住居」は免税の対象になりますので、居住外国人であれば可能性はあります。

 

その他

カンボジア国内法なので、ここでまとめているのは、あくまでもインターネット上で拾えた情報に基づいています。運用細則などはまだ定められていないようですし、今後変更等が生じる可能性は多々あります。

実際に譲渡益が発生した場合には、その際に専門家のアドバイスを受けられることをお勧めします。

導入直後には契約事務や税務手続きに混乱が生じそうですが、個人売買の事例をぜひ見てみたいものです。