知磨き倶楽部

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カンボジア: 非居住者としてカンボジアの銀行口座を開設する前に(カンボジア主要銀行比較その1)

カンボジアは、非居住者が銀行口座を開設しやすい国として紹介されていることが多いです。

経済自体が米ドルを中心にしていることから、米ドルでの海外口座が開設できて、なおかつ利息が高いと言うことも人気の後押しをしています。

ただ、そうした情報が紹介されている書籍などを読んでも、「インターネットでちょっと調べれば出てくるレベルよりも薄いんじゃ?」と感じることも多々ありまして。特に銀行間での比較とかの情報がほとんどない。

本当に自分のお金を預けるなら、事前に調べる程度の手間を惜しんじゃいかんだろうと思ったので、簡単に調べてみました。

 

カンボジアの主要な銀行(日本人視点)

結構な数の外資系銀行が進出していて、中にはカンボジア国内の銀行として相当のプレゼンスを発揮している銀行でも、日本人としては馴染みが薄い銀行もあったりします。

例えば、Cambodia Public Bankなんて銀行はマレーシアの大手銀行系列で、カンボジア国内でも大きな銀行ですが、日本人が使っているという話はあまり聞いたことがありません。

逆にカンボジア国内での規模は小さくても、日本人には人気のある銀行もあります。

ここでは、日本人として押さえておいた方がいいかなと思える銀行をピックアップして調べてみました。

ちょっと長くなりますので、カンボジアにある日系資本の銀行については別の記事でまとめます。

 

Acleda銀行

カンボジア最大手の銀行で、唯一のカンボジア証券市場上場銀行でもあります。三井住友FGが第二位の大株主に名前を連ねており、安心感ではナンバーワンですね。

ウェブサイトを見れば非居住者外国人でも口座開設できることは分かりますし、必要書類は銀行指定のフォームとパスポートだけっぽいです。ただ、在カンボジア日本大使館カンボジア公証役場みたいなところで証明してもらわないといけないところが面倒な手続きです。

一時期、カンボジアに不動産投資を行うついでにAcleda銀行に口座開設をする日本人の話も聞きましたが、彼らはどうも口座開設サポートの業者を使っていたようです。現地に精通した業者を使うと裏技もあり得る世界ですし、居住者口座なのか非居住者口座なのかはよく分かりません。。

 

固定性預金金利を見ると、クメールリエル(カンボジア法定通貨)、米ドル、タイバーツの3種類で利息が設定されています。また、注意点は利息を受け取るタイミングによっても設定利率が違うところですかね。

本記事執筆時点では、2年物の米ドル建て定期預金で4.50%/年ですが、利息を満期まで受け取らないプランにすれば4.75%/年ですし、5年物の米ドル建て定期預金(こちらは利息の支払は3ヶ月毎の一択)なら6.25%です。それぞれモバイル口座ならさらに利息の上乗せがあります。

EURO口座もラインナップに挙げられているところも、注目はされていませんが押さえておきたいポイントです。為替リスク対応で外国に口座を持つのなら、ここで米ドル口座とEURO口座両方持つのもアリなんじゃないかな、と思ったり。

www.acledabank.com.kh

Canadia銀行

こちらは規模で言えばAcleda銀行に並ぶカンボジア資本の大手銀行です。現地のお金持ちに人気があるようで、顧客数などではAcleda銀行に及ばずとも、預かり資産額では肩を並べる規模らしく、上場こそしていませんが、やはり安心感のある銀行です。

ウェブサイトを見る限り、非居住の外国人でも提出書類に違いはなく、有効なパスポートとビザがあれば大丈夫そうです。居住者の場合は居住を証明する書類が別途必要になる感じです(利息に対する税率が違うからか?)。

こちらは中国の人民元口座とタイのタイバーツ口座がラインナップに挙がっている点が注目です。 

 

Acleda銀行と同じく、2年物の米ドル建て定期預金の利息は利息の受け取り方によって異なります。毎月利息を受け取る場合は4.75%/年、期限一括の場合は5.00%/年です。人民元建てだと1年が最長だったりするようです。

ウェブサイトに、オンラインでの口座開設申込みページがあったので試してみましたが、非居住者だとカンボジアの住所を入力しなければいけない欄で躓く感じですね(現地の電話番号は「0」と入力するだけで先には進めました)。

www.canadiabank.com.kh

ABA銀行

こちらは外資系100%、National Bank of Canadaの子会社です。現地では、モバイルバンキングに一番最初に力を入れ始めた銀行で、使い勝手の良さが現地の人たちに受けて、近年急速に規模を拡大しています。他行もモバイルバンキングに力を入れ始めていますが、ABA銀行に、先行者利益というか、一日の長があるような気がします。

ちなみに、National Bank of Canadaはカナダの民間銀行で、中央銀行ではありません。カナダの事情になんて明るくないので、名前が紛らわしい。カナダの中央銀行はBank of Canadaです。

 

ただ、ウェブサイトを見る限り、非居住者の外国人が口座を開設することは難しい印象です。外国人として口座を開設する際の要求書類に、カンボジア国内での住所を証明するもの(6ヶ月以上の賃貸借契約書など)が挙げられていて、例外が記載されていません。正面突破だと玉砕する可能性がありますので、現地の業者を使った方が無難ですね(検索すれば出てきます)。

 

定期預金の利率を比べてみると、2年物の米ドル建て定期預金で3.35%/年(毎月利息受け取りの場合)、3.60%/年(利息期限一括受け取りの場合)と先に紹介した2行に比べると低いです。

ほったらかしで利息のみに期待するのであれば、わざわざ業者に手数料払ってまで開設する必要があるのかはよく分からないです(業者に頼めば現地に行かなくてもOKなら相当意味ありますけど、現地には行かないと駄目です)。

なお、ABA銀行は社債を発行してカンボジア証券市場に上場させています。ほったらかしなら、こっちを買うという手段もないわけじゃないですが、証券口座を開設する方がハードル高そう(汗)

www.ababank.com

PPCBank(プノンペン商業銀行)

現在は韓国資本の銀行ですが、もともと日本のSBIグループが筆頭株主として所有していた関係で、日本人担当者が常駐するジャパンデスクがあり、日本人に人気があります。SBIグループは2016年に株式をすべて売却しており現在は無関係ですが、ジャパンデスクは存続しています。

ウェブサイトで口座開設時に必要な書類を見ると、非居住者の口座開設は正面突破では難しそうに見えますが、ジャパンデスクの特設ページ(ここだけ日本語)を見ますと、非居住者でも口座開設可能なように見えます。あえてぼかして書いているのか分かりませんが、業者を使わないのであれば、ジャパンデスクへの問い合わせ・アポイントメントは必須だと思います。

 

固定性預金の利息を見てみますと、2年物の米ドル建て定期預金で4.45%/年(毎月利息受け取り)、4.70%/年(期限一括利息受け取り)となっていますが、最長5年まで設定できるようなので、5年物なら5.10%/年(毎月利息受け取り)、5.60%/年(期限一括受け取り)になります。

個人的には、「いざという時に日本語対応してもらえる窓口がある銀行が安心」というニーズがなければ、積極的に選ぶ対象ではないと思っていますが、それでもこの安心感は他行では得がたいのも事実ですね。

www.ppcbank.com.kh

まとめ

ざっと日本人から名前を聞くことの多い、日系以外のカンボジアの銀行での口座開設について、各銀行のウェブサイトから分かる範囲を中心にまとめてみました。実は日系資本の銀行もそれなりに営業しているので、今度は日系銀行をまとめてみたいと思っています。

 (↓ 日系銀行を以下の記事にまとめてみました)

chimigaki.hatenablog.com

 

COVID-19の拡大以降、カンボジアは入国規制(PCR検査による陰性証明+14日間の強制隔離)もありますし、口座開設を目的とした渡航は現実的ではないと思いますが、年々、非居住者による口座開設が難しくなっているのも事実なようです。早く、自由に渡航できる世界に戻って欲しいものです。