知磨き倶楽部

書評及び海外ニュースの紹介等を中心とした情報を発信します

【インドネシア】2021年第3四半期の住宅価格指数は鈍化予想

東南アジア最大の人口を誇るインドネシア。人口が多いだけに新型コロナの陽性者数も死者数も累計では東南アジアで最大となっており、一日当たりの新規陽性者数などの数字ではピークを過ぎたようにも見受けられますが、まだまだ行動制限も続き、経済への影響が大きくなり始めています。

今日は、そんなインドネシアの不動産市場に関するアップデート情報の記事を読んでいきます。

www.thejakartapost.com

英単語メモ

ぱっと読んだときに「ん?」と思った英単語をメモしておきます。

anemic: 「元気のない」「無気力な」という意味を持つ形容詞。医学用語では「貧血(症)の」という使い方も。英英辞典ではanaemicという綴りが正っぽい。

anaemic [əníːmɪk]: 1. suffering from anaemia.  2. weak and not having much effect

SYN: feeble 

 

中央銀行による見通し

インドネシア中央銀行(Bank Indonesia)による住宅価格指標の予測です。

インドネシア政府としては、一定の条件の下にVATを免除するという施策を打ち出し、購買意欲を刺激するとともに、市場の完成在庫の削減などを目指しています。前四半期は、これが功を奏して(?)住宅価格指標は上昇し、市場に活気が戻り始めたかのように見えました。

住宅価格指標は、2021年第2四半期には1.49パーセントの上昇を見せ、前年同期比よりは低かったものの、2021年第1四半期よりも伸び率は増加し、市場の回復傾向を感じさせていました。

しかし、8月13日に発表された第3四半期の予測は1.12パーセントの上昇に留まり、第2半期と比べて鈍化するだろうとの見通しとなりました。地域によってはマイナスとなる見通しのエリアも出ています。

 

住宅販売は引き続き厳しい

2021年第2四半期の住宅販売件数を見てみると、前年同期比で10.1パーセントの減少となっており、こちらからは指標以上に厳しい状況が伺われます。

その中でも、36平米から70平米くらいの「mid-size house」と呼ばれるクラスは堅調なようで、これが全体の底支えをしている(減少率を食い止めている)とコメントされています。一方で、これよりも小さなサイズの住宅は15.4パーセントの減少となり、減少幅は最大だったようです。

“Positive growth in sales of mid-size houses prevented a steeper decline in [overall] house sales,” Erwin Haryono, who heads the communications department at BI, was quoted in a press release as saying on Friday.

Sales of houses measuring between 36 sqm and 70 sqm grew by 3.63 percent in the April-June period from a year earlier, slower than the double-digit growth seen in the previous quarter. Sales of small houses posted the steepest annual decline at 15.4 percent.

 

開発業者の声として、人々が将来の支払余力に対する不安や不透明さに直面しているため、目先のVAT免除よりも、住宅ローンを借り易くするとか、そこに何らかの施策が必要だろうとの意見も出ています。

また、建築資材の価格は世界的に上がっているという状況もあり、開発業者はコスト増を価格に転嫁しにくい状況に直面しているのだろうとも想像されます。

 

住宅に対する要望に変化が?

他の東南アジアの不動産市場を見ていても思うことですが、これまでは、地価の上昇から住宅のサイズが徐々に小さくなってきていた傾向が見受けられました。日本の住宅も「うなぎの寝床」などと言われることがありますが、ジャカルタバンコクの住宅(特にコンドミニアム)も、20平米程度に二人、あるいはそれ以上で住むという選択が見られるようになっていました。

しかし、今回の新型コロナによる外出規制などの影響で自宅に篭らなければならない時間が増えたことにより、多少中心地あるいは駅などから遠くなっても、スペースの十分確保できる住宅に購買者がシフトしている様子が伺えます。これも、日本で見られている動きと同じです。

 

外国人投資家が投資対象として検討するような不動産はまた少し違う視点で見る必要はあると思っていますが、こうした地場のトレンドを頭に入れつつ、出口を見据えて検討したいところです。