【本の紹介】iPadで何したいの?を考え直す(五藤春菜『iPadのはなし』)
Apple社によるタブレット端末「iPad」シリーズの発表以来、僕たちの生活の中で完全にタブレット端末のポジションが確立され、今や手放せない存在にまでなっている人も少なくないと思います。
かくいう僕も、2012年にiPad miniを購入して以来、かれこれ何台目かのiPad端末を使っており、日常生活においてタブレット端末に触れない日はありません。
ユーザーの増加に伴うニーズの増大に応えて、数多くのウェブサイトや書籍で「iPadの使い方」や「iPadの便利テクニック」のような情報は溢れていますが、日々更新され続けるアプリの紹介が多かったりするのが現状です。
そんな中、今回ご紹介する書籍は、目先の便利テクニックよりも、iPadを使って何をしたいのか、という根本のところに立ち返って考えさせてくれる一冊です。
タイトルとしてはiPadですが、根本を考えるという意味では、メーカーを問わずタブレット端末全般に参考になる話でした。
僕にとってのiPad
本書を読んで、軽く自分のiPadとの関わり方を振り返ってみました。
ちょうど生活基盤が東南アジアに移った2012年に初めてiPadシリーズを使い始めました。当時も色々なことができ、期待に胸は膨らみましたが、主目的は「Kindleで電子書籍を読むこと」でした。そこにプラスアルファで何かできることを期待して、専用端末ではなく、iPadを選択しました(ミーハーな部分があったことも否定しませんがw)
本記事執筆時点における僕の使用機種を参考までに。
これを外付けキーボードなしで使用しています。ちなみに、スマートフォンはiPhoneを使っているので連携できますが、PCはWindowsを使っているため一部のアプリ以外での連携はなされない状態です。
機種はminiシリーズからProシリーズへと変わりましたが、今に至るまで利用の中心は「電子書籍を読むこと」で変わっていません。 かなりもったいないw
その他はウェブサイトや動画の閲覧、レシピのストック(作りたいものの他、作ったレシピの反省などのメモも)、ゲーム、仕事上のメールや書類のチェックなどでしょうか。あまり当初期待したような「プラスアルファ」の使い方ができているとは言い難い。。(汗)
こう改めて振り返ってみると、僕の使い方というのは、せっかく機能が日進月歩で高度化しているというのに、その恩恵をほとんど受けていない分野ばかりです。物理的に当初のiPad miniシリーズが最新OSへのアップデートに対応しなくなったことを除けば、機種変更(買い替え)しなくても良かったのではないかと言われても反論が難しい。
なぜこんなことになっているのか?
それは、著者の五藤さんがiPadを使いこなすために一番重要なこととして指摘している、「目的をもって操作する」という意識が薄かったからに他なりません。
iPadを使うことで何を達成したいのか
電子書籍さえ(買えて)読めればそれでいいや、であれば小難しく考える必要はありません。しかしそれなら、大枚はたいてProシリーズを買う必要なんて、見栄を除けば、なかった(そしても今後もない)はずです。せっかく本書を読んだなら、一度立ち止まって考えてみる必要があります。
電子書籍を読むだけから一歩進める
電子書籍を読むだけで終わっていいのでしょうか? 以前は書評ブログを書いていたこともあり、感銘を受けたところとか、気になったところとか、新しく知ったことだとかをメモに残していました。 この作業が楽になると思ったのではなかったか?
著者の五藤さんは、本書の中で「Taio」というアプリを使った読書メモの作り方を紹介しています。
僕がもともと考えていたのは、GoodNotes 5を使った読書記録です。かなり有名なノートアプリの一つで、著者の五藤さんも推しているアプリの一つです。
読んでいて気になったところをキャプチャして、GoodNote 5に貼り付けて手書きで自分の思ったことを書き加えておく・・・ と、紙の書籍で直接書き込んでしまうようなことができるのではないだろうかと期待していました。
ただ、やってみると意外と面倒なんですよね(汗)
キャプチャしたページを一旦どこかに保存しないといけないのが、まず面倒です。こういうステップを減らさないと人は(少なくとも僕は)簡単にやらない側へと転落していきます。
ということで、本書を読みながら改めて触ってみると、僕の目的を達成するためには今すでに入っているアプリの中では、OneNoteがいいのではないかと。
音声入力でどこでもインプットを実現
本書では読書メモを取る際に、音声入力の活用を提案しています。
僕はこれまで使ったことがなかったのですが、早速試してみたところ、結構精度は上がってきているんですね。
iPadに外付けキーボードをつけていないことが、入力が大量になる際にiPadを使いたくない(PCに比べて格段に入力時間が遅くなる)ので、入力作業はPCで、という役割分担をしていましたが、こういうブログ記事の下書きとか、スピーチの原稿を考える時とか、特にPCの前に座っている必要がなかったり、煮詰まってPCから離れたい時に音声入力でとにかく入れてしまうというのはアリかもしれないなと思いました。
PDFの書類を読みながらメモを書き込む
これは紙から離れるためにもやりたかったことの一つです。PCで読んでしまうことも多いのですが、メモを取らずに流してしまうことも多くなりがちです。やっぱり読みながらメモを取りやすいのは断然iPad。Acrobat Readerでもいいのですが、メモが若干しにくいので、ノートアプリに任せてしまいます。
ここでは、先ほど読書メモでは利用を断念したGoodNotes 5がいい感じです。
PCの前に座っていてもそうではなくても、レポートやら何やら、どこでもメモを取りながら読めるのは、iPadが紙の代わりになるというコンセプトともマッチします。メモ付きで誰かに共有することも簡単ですし(スタッフに共有することを考えるとメモを英語でしないといけないくて、それはアプリ云々以前の問題で面倒くさくてやらない気もしますが)
料理を楽しく
自炊を始めて色々と本や動画を見ていると、作りたいレシピに出会います。本も動画もiPadで見ているので、これをそのままOneNoteに転送すれば作りたいレシピリストが完成します。
あとは時間のある時にOneNoteを見返しながら献立を考えたり、実際に作ったものは写真や感想、反省点などを書き加えていくと料理ライフが充実します。これは結構モチベーションの維持に役立っています。
ただ、本書を読んでDayOneというアプリが気になっています。
これを使って作った料理を記録していくと、いずれ去年の今日はこんな献立だった、とか、去年よりもこんなに上達している、とか振り返れそうです。作ったものの写真は結構溜め込んでいるので、今も写真アプリから去年の今日は何作ってたんだっけ、、と見返したりしていますが、こんなアプリで感想やら反省とともに見返すことができたら楽しそうです。
結局何がしたいのか?
仕事の基本はPCなので、これをiPadに移行させようなどという考えがない以上、自分の好きなことを少しだけ楽しくすることだったり、PCを離れて頭をリフレッシュさせることだったりするのにiPadさえあれば、という状態が僕の中でのiPadの位置づけっぽい感じです。
Apple Pencilの第二世代がProシリーズにしか対応していない中では、「どこでも思い立ったときにメモを書き込む」 という状態を作り出すためにProシリーズである必要があるなという感じですが、その問題さえクリアされてしまえば、僕の場合はProシリーズに拘る必要性は見出せないですね。
このブログも趣味なので、iPadで完結できるといいんですけど、外付けキーボードを使わずに、これだけの文章を入力するのはまだまだ。。あと、「はてなブログ」のアプリが使いにくい(機能削りすぎ)というのも、iPadでブログ記事書いてしまおうと思わない要因なんですけどね。。ブラウザで書くという選択肢はありますけどね、そりゃあ。。
こういうことは、立ち止まって考えてみないと、惰性でそれまでの使い方、関わり方をしてしまうことになりがちです。せっかくの多機能・高性能なツールがあるわけですし、時々目的を見つめなおし、自分の使い方を見つめなおしてみることも必要なのかもなと思わせてくれました。
あとは、自分が楽しい思いをするために、このアプリで何が出来るんだろう、こんなことが出来たらいいのにと、その先を考えながら使い続けてみることですかね。