【カンボジア】2021年の経済成長率を2.5%へ下方修正
東南アジア周辺諸国と同様、新型コロナの感染拡大(死者数も増加)に苦しんでいるカンボジア。在カンボジア日本大使館からのお知らせや現地の方のツイートなど見ていると、公表数字に疑義も呈され、実態は公表数字以上に悪い可能性も。7月30日からは再び夜間外出禁止などの措置が取られています。
そんな中、8月1日にフン・セン首相が4時間にもわたる演説を行いました。話題は多岐に亘っていたようですが、経済関連の話題を抜粋した記事を読んでいきます。
過去のおさらい
カンボジアは今回のパンデミック前は、平均で年率成長7%の成長を続けてきました。発射台が低かったこともありますが、農業を中心に、観光や建設分野などが成長を牽引してきました。
昨年はパンデミックの影響により、世界的に経済が収縮し、カンボジアも3.1%のマイナス成長を記録。1994年以来始めてのマイナス成長となりました。
2021年見通しの引き下げ
今年前半にカンボジア政府を含め各種機関から発表された経済見通しでは、おおむね4%程度の経済成長が見込まれていました。
ただ、4月~5月にかけて行われた首都プノンペンを中心としたロックダウン措置の影響に加え、足元ではデルタ株の国内感染報告がなされたことを受けてと見られる、再度の夜間外出禁止令等を中心とした拡大抑制措置の影響により、見込んでいた回復に陰りが見えています。
今回フン・セン首相が演説では、これまで4%程度としていた経済成長見通しを2.5%に下方修正するとの発言がありました。
引き下げの要因分析は持ち越し
ただ、カンボジアの発表では結構見られるなという印象なのですが、引き下げの要因分析が報道されません(汗)
今回の記事でも、農業関連の輸出は想定よりも増えているとか、CDCによる新規投資の承認は続いているとか(これはカンボジア経済を支える外国直接投資に繋がるので、重要な指標の一つ)、ワクチン接種計画が完了すれば観光業関連も回復するとか、前向きな書き方ばかりで、じゃあ、なぜ予測を引き下げた?という点の説明が一切ありません。
本記事とは別に演説の内容の記事が出ていますが、色々見ていると、国内外で言われている悪い話を打ち消すことが大きな目的だったように見えます。リーダーシップのあり方としては正しい(さすが首相在籍年数で世界一のフン・セン首相)と思いますが、あからさまに情報が操作された大本営発表に見えてしまうのは、僕が外国人故でしょうか。
2.5%の成長では、前年度に落ち込んだ分を取り戻すことができず、パンデミック前の経済水準への回復は2022年にずれ込む格好となりそうです。
IMFが7月の下旬に発表した経済アップデートのレポートでは、カンボジアなどの個別国の見通しは示されていませんでしたが、ASEAN5と呼ばれる国々の成長率見通しも4月時点の見通しより引き下げられていました。当初、新型コロナ抑制の優等生と見られてきた東南アジア諸国ですが、カンボジアを含めて、今年も厳しい1年になりそうです。