知磨き倶楽部

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【本の紹介】最近料理に嵌ったオッサンが喜んだプラスアルファのレシピ本(『音楽家の食卓』)

新型コロナの影響による生活様式の変化として、単身生活になり自炊を始めたことが挙げられます。当初は自炊と言っても現地の日系スーパーで、日本から輸入された冷凍食品を買ってくるだけでしたが、やがて物流の影響で冷凍食品の種類が減少し、あまりにも変わらないメニューに一念発起しました。

今では冷凍食品にお世話になる頻度も激減し、何とか「料理」と呼んで差し支えないかなと言える程度のものを作って食べています。

 

今日は、その影響で手を伸ばすようになった「料理本」ジャンルから、一冊で二度も三度も美味しかった一冊を紹介します。

本書で紹介されているクラシック音楽家たち

ヨハン・セバスティアン・バッハ

フランツ・ヨーゼフ・ハイドン

ウォルフガング・アマデウスモーツァルト

ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン

フランツ・ペーター・シューベルト

フェリックス・メンデルスゾーン・バルトディ

フレデリック・フランソワ・ショパン

ロベルト・シューマン

フランツ・リスト

リヒャルド・ワーグナー

ヨハネス・ブラームス

 

僕自身は、小学生時代にやたらとクラシック音楽が好きな友人がいたおかげで、当時やたらと聴いた経験だけはありますが、楽器を演奏することもできませんし、演奏会に行った経験も田舎のファミリーコンサートと、大学生になって粋がって行った年末の「第九」のコンサートくらいのもの。

そんな僕ですが、本書で紹介されている巨匠たちは、名前くらいは知っている超有名どころばかりです。小学校や中学校の音楽室に飾ってあった肖像画がすぐに浮かんでくるくらいですよね。

一粒目の美味しさ

まずは巨匠たちの生涯を、ごく簡単にではありますが紹介してくれる内容そのもの。11人もの巨匠を紹介するため、一人ひとりの分量は多くありませんが、僕のように詳しいわけではない人間にはちょうど良い。音楽的な業績はもちろんのこととして、ベートーヴェンは身分違いの片思いばかりだなぁとか、ワーグナー奔放すぎるだろうとか、異性関係の話題が必ず入るのも人間味が感じられていいのです。

さらに、この本のテーマである「食卓」というか食事に関する話題も必ず出てくるのが特徴的です。こんな料理を好んだだの、中には今も現存するお店のこのメニューが好きだったなどの話が出てきて、ますます人間味を感じさせてくれます。

二粒目の美味しさ

著者自らが訪れて撮影したものも含め、紹介されている巨匠ごとに、ふんだんに使われている各巨匠ゆかりの場所、建物などの写真たちです。

もちろんテレビ番組なんかで観ることはできますし、旅行雑誌やサイトを見れば、それこそ山のように美しい写真を観ることはできます。それでも、それぞれの音楽家のエピソードに添えられた写真たちは、どれも音楽家の人生に息吹や彩りを与えてくれるし、何よりゆかりの土地を訪れて、もっと音楽家たちを、その生み出した音楽を身近に感じたいと思わせる力に溢れています。

新型コロナの影響でヨーロッパに行くことは、以前よりも遥かに実現性が乏しいのが残念ではありますが。。

三粒目の美味しさ

最後に、本書のメインディッシュとなるレシピたち。音楽家のエピソードとともに紹介された、音楽家たちの食卓に実際に並んだ、あるいはきっと並んだに違いない料理たちが、ドイツ料理シェフの著者の手で再現されています。

僕のような料理初心者にはちっとハードル高めのレシピだったりしますが、幾つか挑戦したいと思うものが(いずれのレシピでも、在住国では入手が容易ではない材料は他に置き換えるなど工夫は必要そうですが)。材料以外での(僕にとっての)関門はオーブン。西洋料理って、アジア料理に比べると圧倒的にオーブン使う率が高い気がします。これは初挑戦のときが来たのかもしれません。

写真のように美しくできないのは仕方ないとしても、自ら作り、それを食したであろう音楽家の音楽を聴きながら摂る食事とか、なんか粋じゃないですかね!?

 

僕自身は、単身生活になり、仕事と食材の買出し以外はほぼ引きこもり状態となって1年以上が経過しています。それまでは、月に数回は国外出張するなどしていた環境からは、大きな変化で、知らず知らずにストレスが溜まっていそう。

実際に行けはしないけれど、行った気になったり、行きたい気を高めたりしながら、レシピに挑戦しつつ日々を乗り切る楽しみをくれる本書。久しぶりにクラシック音楽も流してみちゃったり。普段触れない世界だな、という人にこそ、手にとってみて欲しいと思います。