【タイ】タイ中央銀行が政策金利の据え置きを決定ー反対票も
新型コロナが猛威を揮っているタイ。一日当たりの感染者数は最多記録を更新し続け、2万人に近づいています。人口当たりの感染者数で考えると、直近の一日当たり感染者数はインドのピーク時に近い水準です。死者数が一定水準で押さえ込まれているのは幸いですが、医療事情は逼迫していると聞こえており、予断を許さない状況が続きます。
7月12日から首都バンコクを中心に続いているロックダウンは8月16日までの延長が決まっていますが、月末までの延長もすでに示唆されています。経済活動への影響も懸念されます。
そのような中、今日はタイ中央銀行の政策金利決定会合が開かれましたので、記事を読んでいきます。
タイの政策金利推移
本日の会合結果の前に、これまでのタイの政策金利の推移を見ておきます。
新型コロナ前から、徐々に政策金利を低下させ始めてきていた様子が覗えます。僕が最後にタイを訪問したのは、2020年2月初めですが、その頃にはすでに「史上最低水準」に到達していました。現在の0.5%は2020年5月から据え置きが続いています。
今回の決定
今回の会合でも市場の予想通り政策金利の据え置きが決まりました。ただ、記事にあるとおり、前回6月の会合では全員一致で据え置きを決めたのに対し、今回は6人の委員中、2人が反対意見を表明しています。
the two membrs who voted against wanted to reduce the rate to 0.25% and use monetary policy to help support the economy.
反対意見を表明した2人の委員は、さらなる引き下げの必要性を主張したようですね。
ただ、市場としては、まだまだ財政政策による支援の必要性と有効性の方が、更なる政策金利引き下げという金融政策による支援よりも高いと見られているようです。
プーケット島では、試験的にワクチン接種済みの旅行者に限り隔離措置を緩和し、観光業の再開の糸口を探っているタイですが、先日のIMFによる経済見通しレポートでも2021年の成長見通しは引き下げられており、まだまだ厳しい状況は続きそうです。
現在行われているロックダウン措置と、急ピッチで取り組むワクチン接種プログラム(まだワクチン調達が遅れて予約したのに急に接種できない、という事態は発生しているようですが)により、足元の感染拡大に歯止めをかけ、死亡者数を抑えられるのかどうか。
お家芸のように続く反政府デモも気になります。もともと現政権に対する退陣要求が続いている中、足元の感染拡大とワクチン接種計画の遅れは、間違いなく新たなデモを誘発します(すでに始まっているようですが)。
ASEANの中核国の一つであるタイ。個人的に好きな国の一つでもありますし、渡航の出来ない今は、少なくとも状況だけは追っておきたいと思います。