知磨き倶楽部

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【シンガポール】シンガポールの住宅市場は過熱していない、が。。。

シンガポールASEANの中でも圧倒的に発展しています。物価も高いし、住宅価格も高い。特に外国人に対しては制限もあるので、通常は高額な物件しか買えません(買える人にとっては「高額」ではなく、「適正価格」なのかもしれませんが)。

なので、投資対象として考える際には、一般的には除外して考える国だと思っていますが、シンガポールの不動産市場は見ておく必要があると考えています。

 

今日は、シンガポール不動産市場、特に住宅市場に関するシンガポール当局の見解について書かれた記事を読んでいきます。

www.straitstimes.com

なぜシンガポール不動産市場を見ておくのか

東南アジアの不動産市場を見ていると、外国人投資家としての存在感は中国人が圧倒的になってきていますが、シンガポール人による投資も見逃せない規模で行われています。

中国人の投資家に話を聞くと、自国からのキャピタルフライトそのものを目的とした投資も少なくないのですが、シンガポール人の投資家はもっと投資目線寄りです。なので、自国(シンガポール)の市場が買い時だと思えばシンガポールにも投資しますし、そうではないと思えば周辺諸国の市場への投資が相対的に増えたりします(日本などの先進国に投資するケースの方が多いのですが)。

そうしたシンガポール人の動向に影響を与えるシンガポール不動産市場は、(中国人の動向と共に)東南アジアの不動産市場を見るときに押さえておきたいポイントの一つなのです。

パンデミック下でも住宅価格は上昇

記事によると、シンガポール金融管理局は現在の状況は「過熱(overheated)」ではないものの、住宅価格の上昇には引き続き注意深く見ていなければならない状況、という姿勢を示しています。

しかしながら、COVID-19のパンデミックにより、シンガポール経済も2020年はマイナス成長となったにも関わらず、住宅価格は上昇していたようで、実体経済との乖離が懸念されている模様。

While gross domestic product contracted in 2020, the residential property price index (PPI) rose by 1.6 per cent. As of the first quarter of 2021, the PPI was 5.6 per cent above its pre-pandemic levels.

市場の「冷却」策は取られるのか 

過去を見ても、当局が過熱していると判断した際には、取引に掛かる税金(その時は印紙税だったと思います)を引き上げたりして、効果的に市場を引き締めていました。

上記のような住宅価格指数の状況から、市場では「市場冷却策(cooling measures)」を導入するのでは?という憶測が飛び交っているようです。

 

これに対して、記事で紹介されている当局のコメントは、

Authorities will never tell in advance whether they are going to implement measures, because that defeats the purpose of implementing the measures. So stay tuned and just watch, and we hope the market will continue to remain stable.

やる時はいきなりやるぞ、ということです。まあ、そりゃそうでしょうけどね。

 

シンガポール人投資家も、気軽に他国へ行けない状態が続いているため、平時であれば他国の不動産に振り向けられたかもしれない資金を自国の住宅市場に投資をしているような気がします。

これはどこの国の人も同じなんでしょうけど、やっぱり早く戻って欲しいものです。

 

なお、シンガポールは新型コロナのワクチン接種が相当広がったこともあり、新型コロナをインフルエンザのようなものと看做しながら、対応を取る方向に舵を切りそうなニュースもありました。世界がそちらに向かい、今年の後半(今日からか)のどこかのタイミングでは、国境を越えた移動も(ワクチン接種を前提として)増えてくることを期待しています。