知磨き倶楽部

書評及び海外ニュースの紹介等を中心とした情報を発信します

【カンボジアニュース】保健省発表の統計資料がワクチン接種プログラムの成功を示す

最近、カンボジアの報道をネットで見ていて思うことなのですが、COVID-19に関する数字の公表内容が変わってきています。感染者の増加傾向が続く中、行政も数字のとりまとめが大変なんだろうなとは思いつつ、以前は州ごとなど細かく開示していた数字が姿を消しました。

と思ったら、今度はワクチン接種状況についてだけ詳細な数字が発表されたようです。

www.khmertimeskh.com

ワクチン接種を進めるカンボジア

カンボジアでは、2021年2月10日からワクチン接種を開始していますが、2月20日事変と現地で呼ばれる国内感染の拡大開始に伴い、ワクチン接種を急速に展開しています。

あまり知られていないことかもしれませんが、接種率では東南アジア諸国の中でも2位(1位はシンガポール)。当初「WHOで承認されたワクチンしか使わない」と言っていましたが、国内感染の拡大及び死亡者の増加が収まらない事態を見て、なりふり構わず中国製ワクチンが承認される前に大量導入してきたという背景があります。

公表された統計資料を見る

統計資料を見てみると、なかなか面白いです。

病院ごとの数字に続いて、州ごとの数字が出ており、被りがないとすれば、単純に州ごとの数字は把握できません。また、性別も女性だけを取り出していて、普通の感覚だと「男性」「女性」「合計」としたりするもんじゃないかと思ってしまいます。

 

それはさておき、接種者数を見てみます。

2021年6月7日時点で2,203,744人の方がワクチン接種を推奨回数(2回)終えています。カンボジアは全人口が1600万人と言われていますので、約13.8%の方に接種が終わっていることになります。

カンボジアはワクチン接種のできない若い年齢層の人口も多いので、ワクチン接種の対象者に限れば接種割合はもっと高そうです。

 

ワクチンの種類を見ますと、中国製のSinopharm及びSinoVacの2種が大半で、初期に入ってきたアストラゼネカが少しです。先月行われた国際会議「アジアの未来」でのフンセン首相の「中国に頼らずに誰を頼ればいいのか」という発言のとおり、アメリカに要請したワクチンは未だ入ってくる予定すらなく、中国製ワクチンの供給に支えられていることが見てとれます。

 

次に、接種場所の内訳を見てみると、220万人の約半分に当たる100万人強はArmy関係者であろうと推察できます。首都プノンペンは局地的にかなり強いロックダウン規制をかけたエリアに住む住民を中心に優先的な接種を行っているとの報道もありましたが、まだ30万人程度なんですね。それでもプノンペンの人口の10%は超えている数字です。

カンボジア保健省に期待すること

これだけの数字を把握しているわけですから、保健省には更なる分析とその結果の公表を期待したくなります。

大きな関心は、新規感染者に占めるワクチン接種済者の人数ですね。

中国製ワクチン(特にSinovac)はWHOの承認が遅れたことにも示されているとおり、その有効性に疑問符を投げかけられてきました。個人的には、感染予防ではなく、重症化リスクを大幅に低下させるだけでも有効性はあると思っているので、そのあたりの分析をカンボジアからも出して欲しいところです。

 

周辺諸国の中でもワクチン接種のスピードの速いカンボジアだからこそ、こうした情報発信をしてくれれば、と期待してやみません。