知磨き倶楽部

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【本の紹介】2021年11月の読書記録

2021年11月は16冊の本を読みました。普段に比べてかなり減ってしまったのは忙しかったから。。

 

読了した中からお勧めの本を2冊挙げておきます。

当ブログは管理人の仕事や居住地の関係から東南アジアの情報濃い目で取り上げていますが、基礎知識の一環として歴史をざくっと押さえるのに非常によい一冊でした。
 

万人が読みやすそうなハートウォーム系の連作短編です。読み終えたときに「続きが出るといいなあ」と思ったら、Amazonに既に続編が登録されていました(2021年12月23日発売予定)。

 

 

 

(2021/258)経済学史という内容に加えて、イェール大学なんて付いているし、お堅い感じを想像してたのだけれど猛烈に読み易い。著者がバリバリの学者さんではなく、政治経済ジャーナリストだというところが大きいのかな。各学派などに敢えて踏み込まずに、現在への流れ、現在起きていることとの繋がりに意識を向け易くしてくれる、40篇のコラム調の構成がいい。ガッツリ経済学史読みたい人には向かないかもだけど、僕を含めた一般読者の入り口には最適かと。
読了日:11月02日 著者:ナイアル・キシテイニー

 

(2021/259)【Kindle Unlimited】前向性健忘症で発症前の記憶はあるが、発症後は数十分しか記憶が持たない二吉。ノートをつけ続けることで自身の記憶を先へと繋ぐが、そのノートすら自分の物だと認識するまでに毎度時間を要す。自分の書いたノートに拠れば、そんな状態で殺人鬼と戦っているらしい。こいつが他人の記憶を改竄できるという、トンデモ超能力を持った男で。二吉の混乱と奮闘を体感しながら楽しんで一気読み。
読了日:11月02日 著者:小林泰三

 

(2021/260)宗教の信者をやくざに喩えて、宗教間(派閥間)の抗争の歴史を描く。著者が触れている通り、ある程度史料に基づいてはいるものの、エンターテイメント性を重視した小説仕立てになっているので読み易い。聖書の話など読んでいると結構血生臭い感じで、確かに著者が見立てたやくざの抗争というのはハマるなぁと。キリスト教を理解しようと興味を持つ入り口としては好いけど、ここで止まったらだいぶ誤解がありそうなのでご用心。
読了日:11月04日 著者:架神恭介

 

(2021/261)妻の蔵書から。あさのあつこさんに時代小説のイメージはなかったな。ただ、これは僕には合わない。切れるっぽい同心・木暮信次郎が主役なのかな?岡っ引の伊佐次の視点で語られる部分が多いけれど、なんか今一つ腹に落ちないというか、得心がいかないままに話が進むもんだから、置いてけぼりにされてしまった感が強くて。
読了日:11月05日 著者:あさの あつこ

 

(2021/262)【Kindle Unlimited】タイトルに惹かれて手に取ったが、90年代後半とかなり昔の話で拍子抜け。表紙をよく見ると「上巻」だということに気がつく。が、下巻を読もうという気にはなれなかったなぁ。
読了日:11月06日 著者:ごとう みほこ

 

(2021/263)妻の蔵書から。東日本大震災以前に書かれた、首都直下型大地震をテーマにした小説。高校生の時に阪神淡路大震災で被災した3人の若者がそれぞれの想いで成長し活躍するが、彼らにとらわれない群像劇風になっている。ただ、東日本大震災という事実は小説の想定すら軽く超えていたんだなと。また、本書で脅威として想定されている東海地震はまだ起こっていない。知見は高まり、テクノロジーは進化している中、備えを怠れない問題。
読了日:11月08日 著者:高嶋哲夫

 

(2021/264)【Kindle Unlimited】GoodNotes5の紹介を軸に据えて、対抗する、あるいは特定の機能に尖った特徴を持つ手書きノートアプリを紹介する。結局のところ僕はGoodNotes5とOneNoteに落ち着くので、あんまり意味ないかも。なお、OneNoteは手書きアプリとしては僕は使い勝手がいいとはあまり思ってないので併用している。手書きとしての使い勝手が良くなればOneNoteに統一できるのにな。
読了日:11月08日 著者:河本 亮,小暮 ひさのり,小原 裕太

 

(2021/265)【Kindle Unlimited】第2特集であるおかざき真里さん『阿・吽』完結が思いのほか良かった。読んだことなかったのだけど、おかげで大人買いして妻に怒られることになりそうだ。ノベル・ダ・ヴィンチの「燃えよ書評」もガシっと刺さる。なんでもランキングで「ドイツ人やドイツという国そのものについて知ることができる本」が取り上げられていたが、1位にランク付けされていた『犯罪』はちょうど今読んでいるところでタイムリーすぎる。
読了日:11月09日 著者:ダ・ヴィンチ編集部

 

(2021/266)妻の蔵書から。弁護士でもある著者の処女作となる短編集。ドイツ人の「犯罪」への対し方の一端を垣間見ることができる一方で、日本人的な捉え方との違いから腹に落ちない話もあり。謎解きとか、弁護のために弁護士である語り手(著者)が活躍したりとかいった派手さが全くと言っていいほどなく、この淡々とした感じは好みの分かれるところかもしれない。エンタメ的なミステリ読みたい時には避けた方が無難だろうね。
読了日:11月10日 著者:フェルディナント・フォン・シーラッハ

 

(2021/267)【Kindle Unlimited】キックボクシングの元日本チャンピオンだった主人公は、尊敬し兄と慕ったチャンピオンを試合で殺してしまった(周りが事故だと言っても、本人はずっと引き摺っている)。そのために引退し、全てを忘れて新しい家族を守ることを最優先に生きているが、過去から逃れられず、やくざの裏興行であるリアルファイトの場に引きずり出されていく。まあ、王道系の再生物だけど、全般的に感情の起伏(の描写)が少なく、暗めのトーンで淡々とした印象。もう少し「熱い」方が好み。
読了日:11月13日 著者:草花由

 

(2021/268)以前から読みたかったが、息子が紙の書籍で買ったと聞いていたので一時帰国するまで待っていた本。母親の死後、ショックで塞いでいた田舎の女子高生鈴が、全世界で50億人がアカウントを持つ仮想空間にアクセスしたことを通して(友人が色々画策したからだが)成長し再生する話。好きな分野なんだけどイマイチ入り込めず。映像前提だからなのか、小説としてはやや不完全燃焼感。楽しみにしていた分ハードル勝手に上げてたかもしれないけど。。
読了日:11月18日 著者:細田

 

(2021/269)東南アジアという地域を包括して、近現代のみならず、古代から中世なども押さえてコンパクトに歴史を外観する良書。著者の専門はベトナムだが、各国がバランス良く触れられている。勿論、それが故に深く入り込めていないことは否めないが、興味があれば更に専門書を手に取れば良く、新書の本書の範囲を超える。やや教科書チックな文体や展開は若干のとっつきにくさはあるかもしれないけれど、そんなことは乗り越えて読んだ方が良い一冊。
読了日:11月20日 著者:古田 元夫

 

(2021/270)妻の蔵書から。30年近く前の作品だが色褪せない一級品。犯人の視点、犯人を疑う家族の視点、犯人を暴こうとする被害者の関係者(元刑事)の視点で進むミステリ。最後の最後で読み手である僕が完全に騙されていたことが分かり、思わず「え?どこで?」と前に戻らざるを得ないこと請け合い。読まずにいた今までが勿体なかったが、どれだけ遅くなっても読めたんだから問題なし。時代とか全く気にならず、最初から最後まで続く緊張感が心地好い。ただしネクロファイルでは避けて通れないグロ系描写はあるので要注意。
読了日:11月24日 著者:我孫子武丸

 

(2021/271)中学2年生の息子が夏休みの読書感想文用にと買っていた本。息子は「面白かったけど感想文が書けない」と言っていたが、色々書きようがあっただろうに。フェロモン発散させまくりのコンビニ店長、そこで働きながら店長を題材にWeb漫画を描く主婦を中心に、様々なハートウォームな話が展開される。僕も大好物系なやつだった。一番刺さったのが多喜二とヒカルの話で、店長たちの影が一番薄い話だったのはご愛嬌。続きもあるようで、また楽しめるようなのは朗報。
読了日:11月25日 著者:町田 そのこ

 

(2021/272)息子の影響で始めたゲーム「プロジェクトセカイ」から知るようになったボカロ曲。ゲームにも数曲が登場するボカロPの一人である40mPさんの活動日誌というのに興味を惹かれた。ボカロの黎明期と言っていい時期にサラリーマンをしながら作り始めた曲が動画配信を通して世の中に受け入れられていく。当時を知らない僕が今読んでいると、苦労という感じがあまり描かれていないのでトントンと有名になっていったように思ってしまうが、、実際はどうだったのかな?
読了日:11月27日 著者:たま

 

(2021/273)中学2年生の息子の国語の教科書を見ていたら関連図書(推薦図書?)的な扱いの中に本書があったので妻の蔵書から引っ張り出す(息子にも与える)。「いい話」系の短編集で少し不思議系要素が入っていたりと、好みからは少し外れるものの、読みやすい話ではあるなと。中学生には消化できないんじゃないかなと思う話もあるけど。。
読了日:11月27日 著者:浅田次郎

 

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