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【カンボジア】地場大手財閥のRoyal Group傘下企業がプノンペン経済特区社の持分45.09%を取得

カンボジア王国の首都プノンペンには、プノンペン経済特区という国内でも有数の経済特区(工業団地)があります。経済特区の開発運営会社はカンボジア証券市場に上場している会社で、日本人が社長を務めていることもあり、日系資本が当初から関与する経済特区として有名で、多くの日系企業が進出しています。

 

今日は、そんなプノンペン経済特区社について、地場の大手財閥であるRoyal Groupが筆頭株主になったとの報道がありましたので、記事を読んでいきます。

www.khmertimeskh.com

 

 

プノンペン経済特区社(PPSP)

プノンペン経済特区社(PPSP社)は2006年にプノンペン経済特区の開発許可を取得し、2007年から開発に着手、2008年には最初の進出企業が決まり運営を開始しています。2016年にはカンボジア証券市場にも上場しています(同市場で4番目の上場銘柄)。

 

2006年当時から日系の株式会社ゼファーが関与しています。

※ 株式会社ゼファーは2008年に民事再生法の適用を申請して破綻しているのですが、この資産が手付かずで残ったのは何でだろうなぁと、今さらながら不思議な気持ちがしますね。

上場時の目論見書を見返してみると、上場前の株主はMadam Limが70%で、株式会社ゼファーが22%を保有していました。実質的にはこの2社による会社だったものと推察されます。

上場後に一度増資(第三者割当増資)を行っており、本記事の買収発表前では、45.09%を保有するMadam Lim、第三者割当増資を引き受けたJWD Infologistics(タイの物流会社)に次いで、株式会社ゼファーが第三位株主として14%強を保有しています。

 

トヨタ自動車デンソーミネベアなどをはじめ、数十社の日系企業が進出しています。またコカコーラ社がプノンペン経済特区に移転してきた際には地元でも大きく取り上げられていました。

 

上場以来、株価は冴えない動きをしています。増資を行っていますが(そもそも増資時の引受額が上場時の公募価格より低いダウンラウンドになっていました)、上場時と比べて会社の価値(総株式数×株価)は今も上がっていないのは大変残念です。

※ PPSP社に限ったことではないですが。ただ、これは新型コロナの影響云々ではないと僕は見ています。

昨年度は配当を止め、自社株買いの計画を発表していましたが、今に至るまで実行されていないなど、資本政策や対一般株主コミュニケーションがあまりうまくいっていないように見えます。

 

今回の報道と株価への影響

今回、地場大手のRoyal Group of Companiesの子会社が45.09%の株式を取得してPPSP社の筆頭株主になるとのことです。とうとう、創業以来の大株主であり、途中までは非常勤とはいえ会長を務めていたMadam Limがすべての持分を手放しました。

 

株式市場の反応は限定的に見えます。12月21日及び22日の商いこそ、通常時に比べると取引量は増え、5%ほどの価格上昇となりましたが、12月23・24日と取引量も通常時に戻ったように見えます(価格上昇分も半分戻しています)。

創業来の筆頭株主が完全に売却して、この先いったいどうしていくのかという絵姿が全く示されていないのも、問題じゃないかと思いますが。

 

 

まだまだ発展途上のカンボジア証券市場ではありますが、だからこそ個別各社の動きも細かく見ておけるという面も。記事にし忘れていましたが、今月には9社目(Growth市場2社目)の上場承認のニュースもありましたし、引き続きカンボジア証券市場は見ていきたいところです。