【ベトナム】プロップテックの力強い成長の兆しが見られる
近年、「○○テック」という用語をあちこちの分野で見かけます。始まりはFintech＝金融テックでしょうか。僕が仕事柄興味を持って見ているのは、特に東南アジアにおける不動産テック＝Proptechの動向です。
今日は、ベトナムにおいてもProptechが成長を始めているという記事を読んでいきます。
Proptechは国ごとに見たい
テック産業というと、まず頭に思い浮かぶのは「GAFA」と呼ばれる、アメリカの巨大プラットフォーマー達です。
僕も検索しようと思えばGoogleを使い、メールはGmailアカウント、本が読みたければAmazon（Kindle）で購入し、Facebookのアカウントを保有し、連絡はWhatsAppで取り合い、それらを使うためのスマートフォンもタブレットもApple製品と、気づけば仕事も生活も、どっぷりGAFAの製品・サービスに支えられています。
アメリカと中国は貿易戦争を続けていますが、その背景の一つには、このテック産業における覇権争いもありそうです。中国では「BATH」と呼ばれる、やはり巨大なプラットフォーマー群が育っています（こっちは、僕の生活にまったく入り込んでいないな）。
個人的には、Fintechはプラットフォーマー達も含めて、国境を越えたサービス展開に馴染みやすいところがあるだろうと思っていますが（だからFacebookも仮想通貨の発行を狙っていたんだろうと）、Proptechについては商慣習も文化も規制も違いすぎて、国ごとに有力なプレイヤーが育つものと予測しています。そして、生活に密着するからこそ、さまざまな面でTechによる新規の価値創造だったり既存のやり方の改善だったりがそれぞれの国ごとに起こりやすいのではないかとも期待しています。
ベトナムにおけるProptech台頭の背景
実物不動産投資という面で、ベトナム、特に商業の中心であるホーチミンの不動産市場は継続的に見ていますが、Proptech企業も台頭してきています。
An expert from Savill Vietnam said there are certain reasons for the market’s rise: the country’s huge population, the problems it faces, which could be resolved by proptech, and Vietnamese people’s ability to use technology.
記事にある通り、人口が多いこと、Proptechで解決可能と思われる問題に直面していること、ベトナムの人々のテクノロジー利用能力が、その背景にある要因として挙げられています。
この辺からすると、東南アジアの中では、インドネシア、フィリピン、タイあたりは同じ背景を擁していると思われ、それらの国におけるProptechの動向も気になります。
ベトナムにおける有力Proptech企業
Propzy
記事においてベトナムProptech界におけるリーダーとして挙げられているのは、Propzyです。
これまでに3700万米ドルの資金調達に成功しているようですが、やはりソフトバンク、目の付け所が違います。
Propzy Raises $25M Fund from Gaw Capital and Softbank Ventures Asia - PR Newswire APAC
Rever
また、ベトナム国内の有力投資会社であるVinaCapitalが最初に投資したProptechとして紹介されているのがReverです。
VinaCapital’s first investment in the sector was in Rever, which has built infrastructure to make the transaction process smoother. Its solution has outpaced the industry’s benchmarks related to data accuracy, the number of days a property is on the market and agent efficiency ratio.
テクノロジーによって、データの正確性や取引の所要日数などを改善しているようです。
Homebase
同じく、VinaCapitalが投資したProptechとして紹介されているのがHomebaseです。
VinaCapital Ventures invested in Homebase, which offers a rent-to-own financing option for millennials and the under-banked population to realise their home ownership goals.
先に挙げた2社が、市場における取引をスムースにするという点に重きを置いているように見えるのに対し、Homebaseは金融をセットにした購入者の利便性向上に特色がありそう。これは、僕も、東南アジア諸国では結構大事なスキームだと思っているものでもあります（アメリカにもあったような気がしますが）。
この他にも、Saas、Go2Joy Vietnam、Citics、A Plus Homeという名前が挙げられており、それぞれベトナム国内で名前を知られているように見えます。
こういう動きを追っかけておくことで、各国における動向を考える一助になるのではと期待しています。
（おまけ）書籍の紹介
商習慣や規制等の違いで解決すべき課題などは違っていても、各国で似たようなサービスが台頭してくるもんだという感覚もあります。
最近読んだプロップテックの本では、以下の本がよくまとまっていて、大変参考になりましたので、紹介しておきます。
