知磨き倶楽部

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【英語】今更ながら「They」を学び直す(サッカーの横山久美選手がトランスジェンダーを告白したという英文記事を読んで)

今日は、日本の媒体でも沢山取り上げられている、サッカーの横山久美選手の告白に関する英語記事を読みながら、英語表現をアップデートしたいなと。

なお、横山選手の告白とか、LGBTQの問題とかについては特にコメントしません。

www.channelnewsasia.com

「they/them」に気をつける

これまでLGBTQ関連の記事とか読んでいて気になったことはなかったのですが、今回「ああ、これは気をつけないといけないな」と思ったのが「they」です。記事の中に以下の記載があります。

Yokoyama, who wishes to be referred to by the gender-neutral pronouns "they" and "them", had a breast-removal operation at the age of 20.  

 

今でも変わっていないとは思いますが、日本の中学校で代名詞を習う時、以下のように覚えたのではないでしょうか(少なくとも、僕はそうでした)。

I:一人称単数

You:二人称単数または二人称を含む複数

He/She:三人称単数

We:一人称を含む複数

They:三人称複数

もちろん、Theyは対象に男性や女性が混じっていても使いますから、もともと性別的な意味合いのない単語だとは思います。ただ、英文和訳問題になると、明らかに人を指すときに「彼ら」とか「彼女ら」と性別を意識せざるを得ない日本語を使わざるを得なかった記憶があります(今、こういう英文和訳をする機会はないので悩ましいことはないのですが)。

 

ただ、この頭があると、上で引用した文に続く次の文章は、少し強めに意識を持たないと消化できません。

They intend to have further gender reassignment surgery after they have retired from playing.

ここで使われている「They(they)」は横山選手お一人のことです。複数じゃありません。「He/She」の代わりに「They」が使われているという意識を持って読まないと、まるで引退後に手術をしたいと思っている方が複数いるような感じになってしまい、一瞬混乱します(記事を読めば、複数の話になるのは流れからして変なので、理解は容易ですが)。

 

こんな機会でもないと引かないでしょうし、手元の英英辞典で「they」の項目を見てみます。

1. people, animals or things that have already been mentioned or are easily identified

2. used instead of he or she to refer to a person whose sex is not mentioned or not known

3. people in general

4. people in authority or experts 

僕の手元の英英辞典は別に新しいものではないのですが(最新版からは2版ほど古い)、ちゃんと2番目に単数でも使う用例が出ていますね。例文はトランスジェンダーを意識したというよりも、本当に性別が分からない、という場合を想定してるようですが。 

中学校で習うのは1番目の意味ですね。新聞だとかいろいろ読むようになると、3番目や4番目の意味も自然と身についてきます(高校生の英文和訳だと、この意味で使われる「They」もよく出てきたような気が)。

 

記事中でもわざわざ注意して書いていたくらいだし、紹介した箇所以外では「They」や「them」を使って表現されている箇所はないため、英語圏の人たちだからといって、これがどれくらい自然に頭の中に入ってきたり、使えたりするのかは分かりませんが、少なくとも僕に限って言えば、「They=三人称複数、彼ら/彼女ら/それら」という、受験英語で鍛えられた自動変換に少しばかり注意を払ったほうがいいなと思った次第です。