知磨き倶楽部

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グローバル: Working From Home(WFH)で燃え尽きないために

新型コロナウィルスにより変化を余儀なくされたものの一つに働き方があります。

これまで、僕を含めて、多くの人にってオフィスに出社して働くというスタイルが当たり前だったのに対し、半ば強制的に在宅勤務あるいはオフィス外での勤務をせざるを得なくなっています。

従来からテクノロジーとしては存在していましたが、チャットツールやオンライン会議システムがあっという間に普及し、なんだかんだと不安はありながらも、ニューノーマルとして定着しつつある感があります。

外部との会議に自宅からオンラインで参加しても、当初こそそれが会話の端緒になるようなことも見られましたが、最近では当たり前すぎる光景です。

 

そんな新しいスタイルが定着してきたからこそ、考えないといけないことも出てきています。

今日は以下の記事を読んでいきます。

www.nst.com.my

WFHがもたらす労働時間の増加

テクノロジーによって、現下の新型コロナによるパンデミックの中、在宅で働くことは容易になっていますが、一方で、同じテクノロジーによって労働時間、特にミーティング時間が長くなっています。

あるイギリスの調査結果によると、エグセクティブな方々は日に6時間半もオンラインミーティングに費やしているのだとか。

またマイクロソフトによって31カ国を対象に行われた別の調査では、多くの国でバーチャル労働時間は1時間ほど増えているようです。

 

オンラインミーティングによる脳への負担増 

特段新しい議論ではありませんが、長時間スクリーンの前にいることは、脳に過度な負担を与えることになります。

記事中に、脳科学の視点っぽいコメントがありますが、実生活において我々の脳というのは人を平面上で認識するようには最適化されておらず、全身を使って表されるさまざまな情報を使うようにデザインされているのだと。

また、オンラインミーティングは脳内でのベータ波を増やすそうで、結果として集中力や生産性に影響を与えるとも言い、この点に注意していないと"burnout"を招きかねないと警鐘を鳴らしています。

日本でもずいぶん前から「燃え尽き症候群」という言葉が使われていますが、2019年に、世界保健機構(World Health Organisation: WHO)も、病気ではないものの、Burnoutを職業上の症状として認識しています。

 

WFHで燃え尽きないためのTips

では、そんなBurnoutを避けるためにはどうしたらいいのでしょうか。記事では以下の方法を例示しています。

1、オンラインミーティングが必要な時というのを特定の場合に限る

例えば、単に仕事をお願いしたり割り振ったり、進捗を報告したりなんていう目的であれば、オンラインミーティングではなく、メモやEメール、通常の電話を使うなど、ですね。

なんかテクノロジー云々ではなく、いわゆる「会議術」みたいな自己啓発本に出てきそうな内容で、生産性考えたら普通に検討しておくべき話でもあります。(これがなかなか出来ていないわけですが)

2、小休止を取る

アルファ波が出ることで、デジタルからの過度な負担を減らし、ベータ波の生成を抑えると。

3、ミーティング時間を短縮する

議論に集中してミーティング時間を短縮化するというのも「会議術」の定番ですね。

 

記事では、上述のような方法が例示されてはいますが、もっと大切なことは、信頼を核とした新しい技能や仕事への態度を身につけたり、そうした新しい技能や態度をベースとした新しい働き方を根付かせることだ、と説きます。

 

イスラムに見るワークライフバランスの教え

我々はすでに第4次産業革命の只中にいるにも関わらず、我々の多くが、未だ第1次産業革命で植え付けられたマインドセットでいるために、バランスを欠いた生活を引き起こしている、と言います。

まあ、それも目新しい指摘ではないのですが、この記事の面白いところは、そこから突然イスラム教の教えに話が入るところです。

ハディースは、仕事の時間、崇拝の時間、家族の時間、休息の時間というものがあるのだと書かれており、バランスの取れた生活を保つことが大切だと説いていると。

これは日本の書籍や記事にはなかなかない視点ですが、記事を最後まで読むと合点がいきます。

なるほど、記事の著者はイスラム系の研究機関の方だったのね。

 

まとめ

新型コロナによってWorking From Homeが広がってきたことで、仕事と家庭の垣根は曖昧になってしまいがちな状況になっていますが、要は仕事のやり方というか意識そのものを、時代に即したものに変えて、ワークライフバランスを考えましょう、という記事でしょうか。

日本でひところ話題になっていた「働き方改革」の根底にも通じるものかもしれませんね(実際に取られた施策はどうか知りませんが)。

 

記事では簡単に「信頼を核とした新しい技能や仕事への態度を身につけたり、そうした新しい技能や態度をベースとした新しい働き方」としか触れられていませんが、WFH導入初期に見られた在宅勤務の管理方法(スクリーンの前に座っていないと仕事をしているとみなさない、定期的に在席確認をするとか)が、いかに時代錯誤な考え方かということを改めて思わされます。 

僕が勤める会社は新型コロナ云々以前から完全に放任なので(成果管理)、こうしたことは、僕個人に関してはあまり考えない話題ではありますが、世の中でもっと広がればいいなとは思います。

※ ちなみに「ワークライフバランス」という考え方に対しては、「なにそれ、美味しいの?」ってのが僕の立ち位置です。