知磨き倶楽部

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カンボジア: 非居住者としてカンボジアの銀行口座を開設する前に(カンボジア主要銀行比較その2)

前回は、日本人視点でのカンボジア主要銀行を簡単に比較してみましたが、今回は、日系のカンボジア国内銀行を比較してみたいと思います。

 

※前回記事 

chimigaki.hatenablog.com

カンボジア国内で営業する日系銀行

本記事執筆時点では、日系銀行として認識できる銀行が4行あります。

特徴的なのは、日本国内で銀行業を営んでいる銀行が一つもないところでしょうか。ニュースなど追っかけていれば気がつけますが、ぱっと見では日系と気がつかないのではないかと思われる銀行も。

他国資本のカンボジア国内銀行は、本国と同じ看板で営業しているところがほとんどであることとは大きく異なります。

Sathapana銀行

もともとはMaruhan銀行として営業していましたが、地場大手のマイクロファイナンス(当時支店数で国内2位の規模)を買収・合併し、同マイクロファイナンスの商号に変更しています。

 

ウェブサイトでは、非居住者用の要求書類は明記されていませんが、利息に対する源泉税として非居住者は14%と示されていますので、まだ口座開設はできる可能性があります。現地の人と同じく、就業状況(収入の源泉)を示す書類が必要になりそうです。

 

固定性預金の利息は、2年物の米ドル建て定期預金で5.75%/年(毎月利息受け取り型)、6.00%/年(期限一括受け取り型)となっています。最長5年まで期限の設定がありますが、3年以上のものは利率は一定ですね。

 

タイのタイバーツでも口座開設が可能なほか、利息がつかない当座口座限定ですが、日本円での口座もあるところが特徴的です。

ウェブサイトも日本語版がある点が、最初の日系銀行としての矜持を感じさせます。

www.sathapana.com.kh

J-Trust Royal銀行

もともとは、オーストラリアのANZ銀行と地場の財閥であるRoyalグループとのジョイントベンチャーだった銀行ですが、ANZ銀行が東南アジア諸国から撤退する際に、日本のJ-TrustがANZ銀行の持分を買い取り、2019年8月から現在の名称での営業を開始しました。

 

ウェブサイトを見る限り、外国人の場合はパスポートに加えて、6ヶ月以上有効なビザを提出する必要があります。非居住の外国人でも1年有効なマルチプルビザの取得はできますが、マルチプルビザでは連続30日以上の長期滞在はできませんので、この辺は事前に確認する必要がありそうです。

 

固定性預金は、ウェブサイトでは1年物が最長です。預入金額によっても利率が違いますが、米ドル建て100万ドル未満の定期預金であれば1年物で3.75%/年、100万ドル以上であれば4.00%/年となっています。

 

日本語版のサイトも用意されていますが、細かい情報は見られないようです。日本語専用での問い合わせ窓口もサイトを見る限りはなさそうです。

 

https://jtrustroyal.com/

SBI Ly Hour銀行

地場の財閥グループが運営していたLy Hourマイクロファイナンスに、日本のSBIグループが70%の持分を取得する形で資本参加し、2020年に商業銀行へと昇格した、比較的新しい銀行です。

ちなみに、SBIグループは前回の記事でも触れたとおり、以前はプノンペン商業銀行の40%を保有する大株主でもありましたし、SBI Royal証券という証券会社を、上記のJ-Trust Royal銀行の地場財閥であるRoyalグループと組んで運営していたりしますので、カンボジアでの事業暦は意外と長いです。

 

ウェブサイトを見る限り、口座開設の要件に関する記載はありません。ただ、固定性預金の利息にかかる税金の説明で非居住者が受け取る利息には14%の源泉税がかかるとの記載があることから、非居住者も想定している可能性はあります(単に口座を持っている人が非居住者になってしまった、というケースのみという可能性もありますが)。

 

固定性預金の利息を見ると、2年物の米ドル建て定期預金で5.75%(利息毎月受け取り型)、6.00%/年(利息期限一括受け取り型)となっています。最長の設定期間は5年のようですね。

タイのタイバーツ建てでも定期預金が出来ます。

 

もともとの母体がマイクロファイナンスだからなのか、ウェブサイトでは普通口座に関する説明がなく定期預金口座しか掲載されていない一方で、ローン商品に関しては色々ラインナップがあって、商業銀行としては(ウェブサイトから見る限り)現時点ではアンバランスな印象を受けます。普通、ローンを貸し出すときに、返済用に普通口座開設させてるはずだと思うのですが。

 

SBILHBANK

Hattha銀行

こちらも2020年にマイクロファイナンスから商業銀行に昇格したばかりの銀行です。タイのアユタヤ銀行の子会社ですが、アユタヤ銀行がMUFGの子会社なので、日本のMUFGのグループ会社という位置づけです。

 

ウェブサイトからは口座開設の要件が分かりませんが、オンラインで口座開設の要望を出せるようになっていて、そこでの添付書類はパスポートだけのようです。電話番号は入力必須項目になっているようなので、少なくとも現地の電話番号がないと駄目かもしれません。

 

固定性預金の利息は、2年物の米国ドル建て定期預金で7.00%/年(おそらく毎月利息受け取り型)、7.25%/年(おそらく期限一括受け取り型)となっています。他行に比べて現地通貨のクメールリエル建てとの利率差が小さく、またタイのタイバーツ建て定期預金の利率が高いのが特徴的です。

 

www.hatthabank.com

番外編 

みずほ銀行

日本のメガバンクの中で唯一カンボジア国内でも銀行業免許を取得済なのですが、銀行業は営んでいないのがみずほ銀行です。

タイのみずほ銀行の商品を販売したり、マレーシア系のメイバンクと送金業務で提携していたりするみたいです。

まとめ

日系という括りでまとまっている情報がなかなか見当たらないので、もしかしたら漏れている銀行があるかもしれませんが、これまでニュースなど追っかけてきた範囲では、ここで挙げた4行が日系として現地で営業している銀行になると思います。

 

前回の記事で紹介した銀行に比べると、非居住者が口座を開設するハードルは高そうな印象を持ちました。Sathapana銀行以外は、日系銀行として営業を開始してからそれほど時間も経っておらず、COVID-19で渡航が難しくなってしまって、そもそも非居住者が口座開設に来るというケースがあまりないという事情もあるかもしれませんが。

 

比較してみて、自分ならここを選ぶかな、という銀行も見えてきました。あとは。。。