タイの首都バンコクは、程よく成熟していて、東南アジアの中でも人気の不動産投資先の一つです。市場が大きいので、個人の投資だけではなく、日本の大手デベロッパーも開発への参画を続けています。
とはいえ、COVID-19で苦しいことには変わりなく。特に国自体が観光業に頼る部分が大きいだけに、その影響は周辺諸国よりも大きく、回復にも時間がかかると見られています。
そんなバンコクの地価に関する統計がアップデートされていたのでご紹介。
2012年以来初の下落
2012年以来、四半期毎に公表されている地価インデックスですが、この2021年第1四半期は公表開始以来初めて、前四半期対比でインデックスが下落しました。
公表主体のReal Estate Information Centerによれば、2020年第4四半期に土地の取引量自体が13.3%減っていたことが要因とのこと。
対前年同期比では上昇
YoYで見れば、まだ11.2%の上昇を保っていますが、過去5年間の平均上昇率17.7%に比べると上昇ペースのスローダウンは顕著です。
バンコクでは、開発用地を求めて多くのデベロッパーが競争し、当面の開発予定がなくても先行して土地を取得してきましたが、そのような動きがなくなってきたと言っています。開発そのものが無くなっているわけではないようですが、1年以内に開発する予定のない土地まで積極的に購入しておこう、という動きが減少しています。
やっぱりインフラが大事
そのような中、地価の上昇した土地は、やはりMRTやBTSなどの公共交通が整備されている、あるいは整備予定のあるエリア。
記事からは、こうした沿線に近いエリアで、ローカルのタイ人が購入できる、THB5,000,000(約1750万円: 記事執筆時点)以下のタウンハウスが開発できる見込みのあるところが人気だと考えられます。
タイでは外国人が単独で土地を所有することができませんので、土地に投資する、という選択肢は一般的には検討外になります(もちろん方法がないわけではないですが)。
上記で触れたタウンハウスなどの、所謂土地付住宅も同じ規制にひっかかりますので、投資対象としては検討できません。
これはタイに限らないですけどね。東南アジアの中では外国人が単独で土地(あるいは土地付住宅)を購入・所有できるのは、最低価格の条件はありますが、マレーシアくらいだと思います。
ただ、コンドミニアムに投資するにしても、出口でタイ人の方に売却することを考えるのであれば、こうしたトレンドを知っておくことは大事だと思います。
初めて四半期ベースでインデックスの下落を見たわけですが、これが続くのか否か。
4月の半ば頃から第3波と懸念されるCOVID-19の現地感染が拡大し、5月1日からはロックダウンが発令されている状況を考えると、第2四半期の地価インデックスも決して楽観できる状況ではないと思います。
COVID-19による経済停滞は、90年代終わりのアジア金融危機や2000年代終わりのリーマンブラザース倒産による金融危機などに比べると、不動産市場への影響は小さいと言われていますが、統計数字が明らかに下がってきたときに動けるプレイヤーがどれだけいるか。注視です。
※ 写真は数年前に見に行ったバンコク郊外のタウンハウス。価格帯的にはTHB3,000,000を下回っていたはず。