知磨き倶楽部

書評及び海外ニュースの紹介等を中心とした情報を発信します

読書感想文を書くための3つのポイント -子供と読書ー だれでも書ける最高の読書感想文

自分がまだ小学生だった頃。夏休みの宿題で出される「読書感想文」が嫌で嫌で堪りませんでした。読書自体は好きだったのですが、感想を書かなければならないということが嫌だったのですね。それが今では、誰に求められるでもなく、誰に読まれるわけでもなく(涙)、ウェブでこんな記事を書いているとは。

 

この「読書感想文なんて嫌だ」という気持ちは、小学5年生の我が息子にしても同じことを思っているようです。自らを省みて理解できないわけではないのですが、それでも、親になってしまうと、子供には読書感想文を書いて欲しいなどと勝手なことを思ってしまうものなのですね。

 

しかしながら、海外でインターナショナルスクールに通う息子には、「夏休みの宿題の読書感想文」というものが存在しません。なので、これまではなかなか強制力を持たせられず、書きたくないという息子の気持ちが通っていました。ただ、新学年になり、新しい担任の先生が、「読んだ本について何かしらの文章を書くこと」という宿題を日々出すようになりました。

 

要求される文章量自体は大したことないにせよ、立派な「読書感想文」です。さあ、満を持してこの本を息子に読んでもらう時がやってきましたよ。

 

 

齋藤孝先生といえば、大人の世界では色々な教養書とか文章関係のノウハウ本とかの、いわゆるビジネス書の分野で著名な方。三色ボールペンを使った読書術が一時期大流行しましたよね。

そんな齋藤先生が中高生向けに読書感想文の書き方指南を行っているのが本書です。小学5年生の息子にはやや早い印象もありますが、読んで損はないと判断したので、「課題図書」の感覚で与えてみることにしました。

 

ただ、実際のところ、息子が感想文を書いてくれても、僕には添削してあげるだけの度量がありません(涙)。なぜか。それは、僕自身が本書から学ばなければならないレベルだから。

僕は、ビジネス書を中心に「書評」なんてものを書き綴ってきましたが、文芸書については取り上げてきませんでした。なぜなら、「書評」するほどのバックグラウンドが自分にないことを明確に理解していたからです。勢い「感想文」にならざるを得ないわけですが、まだ「感想文」にアレルギーがあったんですねw ビジネス書の「書評」って、自分自身の経験に紐付けしやすいし、それを拡大してどういう方に響きそうか、という視点を入れていくと書きやすいものですが(本来的な「書評」とは違うかもしれませんが)、文芸書ではそうはいかなかったわけです。

 

しかしながら、本書を読んで僕は思いました。「よし、これからはビジネス書の書評だけじゃなくて、文芸書の感想文も書こう」と。

書ける、と思わせてくれるものが本書にはありましたし、書きたい、と思わせてくれるものも本書にありました。

それは一体何か? ここで、息子にも是非本書から学んで欲しい3つの心得を紹介します。

 

1、書くべきは面白かったかどうかではなく、何を感じたか、だ!

 

感想文というのは、日記と違って人に読まれることが大前提です。宿題だったら先生が読む、コンクールだったら審査員が読む。

おもしろくないと思ったとき、たとえば日記になら「今日はこれこれという本を読んだけど、つまらなかった。読んだだけ時間のムダみたいな気がした」と書いても、まあいいよ。だけど、それを感想文に書いて提出してきたら、僕だって点はあげない。

なぜなら、その本を読んで何かを感じてほしいと思うから、課題図書に指定しているわけだ。感想文に何を求めているかというと、その人が「本と出会って心がどう動いたか」ということを書いてほしいわけだね。

先生は、本を読んでおもしろがってもらいたいわけではなくて、何かを感じてほしい、何かを考えてほしいんだよ。

そこで一歩踏みこんで、「どうして先生はこれを読ませようとしたんだろう?」と考えて、それについて自分はこう思うと書いたら、その感想文を僕は評価する。

感想文で大切なのは、「自分はこう思った」「こう感じた」ということを、自信をもって表現すること。弱気にならずに、ちょっとオーバーなくらいに書いていいんだよ。

 

僕自身が「感想文」で記憶にあることと言えば、高校生の頃に『源氏物語』で書かされた読書感想文。「光源氏うらやましい」的なことを目いっぱい書いたら職員室に呼び出されましたw

ふざけて書いた記憶は全くないのですが、「どうして先生はこれを読ませようとしたんだろう?(感想文を書かせようとしたんだろう?)」ということに思いを馳せれば、そりゃそんな感想が聞きたかったわけじゃないのは明白ですし、『源氏物語』によって心がそう動いたわけでもありません。

 

大人になって僕が書こうと思う「感想文」は、人に言われて書くわけではありませんし、実は息子も学校の宿題で出るとはいえ、本の指定はなく、何を読むかは本人任せです。

そういう意味では、その人が書いてほしいことがあるわけではないのですが、日記やチラシの裏に書くものではない以上、人に読んでもらうことを前提に書かないといけないわけで、その分ハードルは高いですね。

でも、是非自信を持って書いてもらいたいし、書きたいなと思います。

 

 

2、大切な書き出しは「本との出会い」で始めると書きやすい!

 

書き出しの一文に悩んでしまうときは、「なぜこの本で感想文を書こうと思ったのか」から始めるといい。

「なぜこの本を読もうと思ったのか」「なぜこの本を買おうと思ったのか」、そこから書きはじめると、その本と自分との出会いについて自然に書けるというのはすでにわかったね。

 

これはその通りですね。ビジネス書で書評を書く際にも参考になりますし、今回の記事でも踏襲しています。どんな課題を解決しようと思って、あるいはどんな知識を身につけようと思って読んだのか、というのは定番です。

 

息子が書くのだったら、「お父さんが、これは読むといいから読んでみなさい、と言うから読みました」でもいい。マインクラフトを題材にした小説は好きで勝手に読み漁るけれど、「ゲームを禁止されているけれど、大好きなマインクラフトの世界を感じたいから、この本を買ってもらいました」でもいい。

親目線になってしまいますが、子供がどうしてその本を読みたいと思ったのか、というのは、それだけでもう興味があります。

 

 

3、読む前と読んだ後の自分の心の動き(変化)に注目!

 

読んだ後に「どう思ったか」ではなくて、読む前と読んだ後で「自分の心がどう動いたか」にポイントを置くと、ひとことしか書くことがない、なんていうことにならずにすむ。

 

面倒くさいと思うと、どうしても一言で済ませてしまおうと思ってしまいます。

先の「本との出会い」とも繋がりますが、読む前の自分の気持ちから書いていくと、確かにひとことでは済まず、立派な「感想文」になりますね。

 

本書を読んだ僕の場合で言えば、「息子に感想文の書き方の心得を学んでもらうのに適切だろうか」という気持ちで本書を手に取ったわけですが、「僕自身でも読書感想文書いてみたいかも」などと、斜め上に心を動かされてしまいましたし、実際に(だらだらと)こんな感想も書いてしまっています。

 

 

いかがでしょう。他にも読書感想文の書き方を指南する本はたくさん出版されていますが、本書は、ある程度本を読めるようになった小学校高学年くらいから中高生まで、「感想文なんて嫌だな、面倒くさいな」と思ってしまう子供たちの背中を押し、前向きに取り組むきっかけを与えてくれる一冊だと思います。

ひょっとすると、大人になってしまった僕のような人の背中も。。

 

 

■ 編集後記

「どうせやるなら」の気持ちで取り組むこと、「最低限を超えて取り組んだところに意味がある(それ以下では時間の浪費でしかなく、投資にならない)」ということを教えてくれる本を最近読みました。

ソバニイルヨ (幻冬舎単行本)

ソバニイルヨ (幻冬舎単行本)

 

父親はちょっと変わってますが、普通の中学生が主人公で、子供にも共感しやすい自己啓発書のような小説です。 感想文への取り組みにも、この心得は大事でしょう。早速、息子に「課題図書」として与えました(感想文までは求めませんが)。