知磨き倶楽部

書評及び海外ニュースの紹介等を中心とした情報を発信します

2018年8月の読書メモ

2018年8月に読んだ本をまとめてご紹介します。

当月は31冊と一日一冊ペースでの読書となりました。が、普段との大きな違いとしては、日本で少しばかり時間を過ごしたことにより、久しぶりに紙の書籍も割合が増えています。

また、新潮文庫の100冊、集英社文庫のナツイチ、角川文庫のカドフェスといったフェア物に乗った選書が多くもなっています。

そんな中から敢えてお勧めの3冊を選びますと、

 

日本人は自分たちが捉えている「仏教」というものを知識として理解しておく必要があると思います。特に東南アジアにいると、Budhismと言った時の現地の人との間での認識の差を自覚しておかないといけません。本書はコンパクトに、分かりやすくまとまっています。

 

夜のピクニック (新潮文庫)

夜のピクニック (新潮文庫)

 

第2回本屋大賞を授賞した有名作品ですが、今になって漸く手に取った次第。鉄板の青春小説。おっさんとしては、羨ましさを感じずにはいられない場面設定で、読みながら、つい遠き日の自分の姿を重ねたくなってしまいます。 

 

遠藤先生の本は久しぶりですが、正論の直球がずしんと響く一冊でした。読んですぐどうこうというよりも、もっと骨太なところから捉え直していかないと結局のところは駄目なんです。お手軽メソッドを求めない層に。  

 


「弱くても勝てます」: 開成高校野球部のセオリー (新潮文庫)「弱くても勝てます」: 開成高校野球部のセオリー (新潮文庫)感想
新潮文庫の100冊】東大合格者数日本一の開成高校。「頭がいい」を活かした独創的な話かと思ったけど、実のところは青木監督の考え方が素晴らしいという話。教育的な視点からも理にかなっているし、怒鳴られようと最後には選手の腹に落ちるだろう。一方で生徒は「頭のいい」にありがちな屁理屈先行タイプで正直イラつく。彼らなりに真剣には取り組んでいるのだろうけど、「ぐちゃぐちゃ言うな!」と思ってしまうのは、僕が教育者でもない単なるおっさんだからだろうか。桑田真澄氏の解説は一読しておきたい。
読了日:08月01日 著者:高橋 秀実


何者 (新潮文庫)何者 (新潮文庫)感想
新潮文庫の100冊】今時(?)就職活動を通して、友達付き合いとかSNS繋がり、意識高い系などの若者世界を描く。おっさんにも共感できるところは大いにあるけど、何というかテクノロジーの進化と社会常識の変化で、人間関係というのも様変わりだなと。ただ、自分を一歩引いた位置において斜に構えたような人間は確かに企業としては欲しくない、というか一緒に働きたいか?って話でしかなくて、そこはあまり変わってないし、本書での扱いもそういうことでしょうと。まあ、こんな感想書くお前こそ「何者」だよっていう。
読了日:08月02日 著者:朝井 リョウ


地球外生命体 実はここまできている探査技術 (マイナビ新書)地球外生命体 実はここまできている探査技術 (マイナビ新書)感想
Kindle Unlimited】探査技術の進歩もそうだけど、科学者の意識が地球中心・人間中心から離れてきたことがブレークスルーの大きなポイントなのだろう。しかし、それが故に我々一般人との間での乖離も大きくなってしまったと。本書はそのギャップを少しでも埋めんとするもので、現在の地球外生命体探索について分かりやすく簡潔に纏まっていると思う。「ブレークスルー・スターショット」の計画実現が楽しみ。
読了日:08月03日 著者:井田 茂


別冊NHK100分de名著 集中講義 大乗仏教 こうしてブッダの教えは変容した別冊NHK100分de名著 集中講義 大乗仏教 こうしてブッダの教えは変容した感想
Kindle Unlimited】基本的に無宗教な僕でも、敢えて言うならば仏教の考え方に一番馴染んでいるし、おそらく典型的な日本人の立ち位置だろう。しかし、僕の思う「仏教」はどちらかと言うと自力を旨とする「釈迦の仏教」であって、他力色の濃い大乗仏教ではない。本書で大乗仏教を学ぶと、何というか仏教と言っていいのかすら怪しくなる。それでも、自国に広く普及する考え方を知っておくには本書はコンパクトで良い。上座部仏教が伝わっている流域に住んでいると、仏教の捉え方が違い過ぎる。
読了日:08月04日 著者:佐々木 閑


マインクラフト はじまりの島マインクラフト はじまりの島感想
Kindle Unlimited】小学5年生の息子用。マインクラフトを題材にした小説は、これまで英語で読ませてきていたけど、珍しく「オフィシャル」な小説が、しかも翻訳されているということで日本語版。初めてサバイバルモードでゲームをした時を思い出しながら楽しく読んだが、著者が本書で意図したように、ゲーム及び本書を通じて、息子には親が教えたいことを学んで欲しいし、押し付けでなく学んでくれる大いなる可能性があると思っている。全7巻で全て著者が変わる予定というこのシリーズ。続きも楽しみ。
読了日:08月04日 著者:マックス・ブルックス


ポケモンをつくった男 田尻智 小学館版 学習まんが人物館 (小学館版 学習まんが人物館)ポケモンをつくった男 田尻智 小学館版 学習まんが人物館 (小学館版 学習まんが人物館)感想
小学5年生の息子用。ゲーム好きな息子は、小学生男子らしくポケモンも好き。そんなに夢中になれるポケモンを生み出した人の話になら興味を持つのではないかと思ったのだが、軽く読み流した感じが強く。。僕は本書を読むまで田尻氏のことを知らなかったので、ポケモン誕生に至るまでの背景をザクッと知れたのは良かった。子供からすれば、好きな昆虫採集やらゲームやらに夢中になったからこその結果として、大いに自分の好きなことにのめり込む格好の見本(言い訳?)として使えるのに、なぜ響かないのか理解に苦しむ。
読了日:08月04日 著者:宮本茂,菊田洋之,田中顕


iPad仕事術!SPECIAL 2018iPad仕事術!SPECIAL 2018感想
Kindle Unlimited】小まめにネットで情報をチェックしてればいいのかもしれないが、僕には時々こういう雑誌やムックでアップデートすれば十分かな。本誌はApple Pencilの活用に的を絞っていて、Apple Pencilをイマイチ活用できてないという現状にピッタリ。取り敢えずは、Windowsとの連携考えてOneNoteを使ってみよう。Note AlwaysとNoteshelf2も気になるので試してみたい。描画系アプリは僕には必要なし。
読了日:08月04日 著者:Malzack,河本 亮,Necojita


土の中の子供 (新潮文庫)土の中の子供 (新潮文庫)感想
新潮文庫の100冊】中村文則氏の作品は初読み。芥川賞受賞ということだが、僕には合わない。虐待環境の中で育った青年の一人称視点。精神的に壊されて活力を失っているものの、奥底に燻る生に気がついて先に進む。淡々とした雰囲気が好きならいいのかもしれないが、共感も出来ないし、上滑りな感じがしたまま読了してしまった。
読了日:08月05日 著者:中村 文則


偏差値70からの甲子園 僕たちは野球も学業も頂点を目指す (集英社文庫)偏差値70からの甲子園 僕たちは野球も学業も頂点を目指す (集英社文庫)感想
珍しく母校が取り上げられているということを知って思わず購入。内容自体は野球に限らず「教育」的な観点で読むと感じるところがある。文庫化の際に最新情報含めて加筆された学校があり丁寧な仕事ぶり。「頭のいい学校の野球部」という点では、最近読んだ『「弱くても勝てます」開成高校野球部のセオリー』は少し立ち位置が違う本だが同ジャンル。面白さという点では残念ながら本書が劣るか。個人的には母校のことが読めただけで満足した。
読了日:08月08日 著者:松永多佳倫


わけあって絶滅しました。――世界一おもしろい絶滅したいきもの図鑑わけあって絶滅しました。――世界一おもしろい絶滅したいきもの図鑑感想
児童書として売れているらしいと聞いていたら生き物好きの妻が購入。子供が取っつきやすいように、それぞれの生き物が口語で説明していて非常に読み易い。深掘りすれば夏休みの自由研究くらいには直ぐなるのでは?と思ってしまったり。大人目線だと、もっと詳細を求めたくなってしまう。息子はまだ読んでいないようなので、読んだら色々話してみよう。
読了日:08月08日 著者:今泉 忠明,丸山 貴史,サトウマサノリ,ウエタケヨーコ,海道 健太


週刊エコノミスト 2018年08月14・21日合併号 [雑誌]週刊エコノミスト 2018年08月14・21日合併号 [雑誌]感想
Kindle Unlimited】第一特集の「歴史に学ぶ経済と人類」はやや期待外れ。週刊エコノミストらしいと言えばらしい内容ではあるけれど、この手の特集は週刊ダイヤモンドとか週刊東洋経済の方が面白く作りそう。ただ、第二特集の「リーマン・ショック10年」と第三特集の「名編集者が選ぶ目利きの本棚」は良かった。目利きの本棚は注目もしていなかったような本ばかりが紹介されていて、読みたい本リストが長くなる一方で困る。
読了日:08月09日 著者: 


マストドン 次世代ソーシャルメディアのすべて (マイナビ新書)マストドン 次世代ソーシャルメディアのすべて (マイナビ新書)感想
Kindle Unlimited】分散型SNSという特徴で一部で注目されているマストドン。開発されたのが2016年10月で、日本で俄かに注目されるようになったのが2017年4月。本書出版後の動きを見ると、2017年12月にユーザー数が100万人に達したようだが、一般に認知、普及するには至ってないという印象を受ける。ただ、本書でも言われている通り、GAFAなどへの不満に対する一定のニーズには応える気がする。チャットルームという方がイメージしやすい。
読了日:08月10日 著者:小林 啓倫,コグレ マサト,いしたに まさき,まつもと あつし,堀 正岳


りゅうおうのおしごと!8 (GA文庫)りゅうおうのおしごと!8 (GA文庫)感想
これまで「感想戦」が中心だった供御飯さんと月夜見坂さんのタイトル戦が本巻のメイン。とはいえ、過去の短編などを間に挟んだというか、タイトル戦が短編の繋ぎに使われてっしまったかのような印象もなきにしもあらずで複雑。熱量としては箸休めというかやや低め。あとがきによれば、それも狙いではあったようだけど、まだまだ熱い勝負の物語が読みたいなと。次巻に期待。
読了日:08月11日 著者:白鳥 士郎


吾輩も猫である (新潮文庫)吾輩も猫である (新潮文庫)感想
新潮文庫の100冊】夏目漱石没後100年&生誕150年を記念してのアンソロジー。それぞれが一流の人気作家による短編で、特別に猫が好きというわけではない僕でも楽しめた。ミステリタッチの赤川次郎の作品が一番好みだが、最も猫視点ではないのも赤川次郎の短編(というか、そもそも「猫」視点と言っていいのか微妙)。ただ、どの作品も決して犬に入れ替えても成り立つようなものではないことに、猫というものへの特別なイメージというか感情を持っていることを思い知らされる。
読了日:08月12日 著者:赤川 次郎,新井 素子,石田 衣良,荻原 浩,恩田 陸,原田 マハ,村山 由佳,山内 マリコ


世にもおもしろい英語 あなたの知識と感性の領域を広げる英語表現世にもおもしろい英語 あなたの知識と感性の領域を広げる英語表現感想
Kindle Unlimited】興味深い話は多いが、知らない表現が多過ぎて知識吸収の面では完全にオーバーヒート。ただ、大切なことは「ん?」と思った表現に触れた時に、自分で興味をもってストックしようとすることだと思った。語源まで調べるのは大変でも、ネイティブとの会話やメールのやり取りから、新聞記事や小説等まで、流さずにストックしよう。自分で「へー」と思えば地肉になる量も増えるはず!
読了日:08月12日 著者:小泉 牧夫


夜のピクニック (新潮文庫)夜のピクニック (新潮文庫)感想
新潮文庫の100冊】一昼夜の間ただひたすら歩く歩行祭。良いなぁ、絶対思い出になるイベントだからこそ、読み手である僕も若かりし頃の自分と重ねながら心情が理解しやすい。異母兄妹が同じクラスというシチュエーションで、当人たちの視点が入れ替わりながら、ただひたすらに歩き続ける。場面の大きな転調があるわけでもないのに、当人たちの心情の変化や距離感の変化で単調にならず、読む手が止まらない。舞台と相まって素晴らしき青春小説。
読了日:08月16日 著者:恩田 陸


生きている会社、死んでいる会社―「創造的新陳代謝」を生み出す10の基本原則生きている会社、死んでいる会社―「創造的新陳代謝」を生み出す10の基本原則感想
遠藤功氏の著書はこれまで何冊か読んできたが、節目の30冊目の単著となる本書は、これまでの著作以上に刺さった。経営者として「生きている会社」にしていくための心得は、目新しいものではないとはいえ、経営者の立場として身につまされるところも多い。ただ、日本企業や日本人を念頭に置きすぎている感じがして、日々複数の国籍で異なる文化的背景を持つスタッフたちを束ねる身としては、異文化マネジメントの視点がもう少しあると尚良かった。
読了日:08月17日 著者:遠藤 功


スタートボタンを押してください ゲームSF傑作選 (創元SF文庫)スタートボタンを押してください ゲームSF傑作選 (創元SF文庫)感想
ビデオゲームを題材にしたSF短編集。12編の短編のうち、最も良かったのは『ウール』に始まるサイロ3部作を書いたヒュー・ハウイの『キャラクター選択』。ホリー・ブラックの『1アップ』、コリイ・ドクトロウの『アンダのゲーム』も良かったかな。でも、短編sじゃ物足りない。やっぱり長編で読みたいぞ。
読了日:08月17日 著者:ケン・リュウ,桜坂 洋,アンディ・ウィアー,デヴィッド・バー・カートリー,ホリー・ブラック,チャールズ・ユウ,チャーリー・ジェーン・アンダース,ダニエル・H・ウィルソン,ミッキー・ニールソン,ショーナン・マグワイア,ヒュー・ハウイー,コリイ・ドクトロウ,アーネスト・クライン


きみはポラリス (新潮文庫)きみはポラリス (新潮文庫)感想
新潮文庫の100冊】三浦しをんさんの恋愛短編集。もともと恋愛小説は苦手なのだが、やっぱり感情に響かない。「最強の恋愛小説集」という宣伝文句に期待したんだけどなぁ。
読了日:08月19日 著者:三浦 しをん


椿山課長の七日間 (朝日文庫)椿山課長の七日間 (朝日文庫)感想
集英社文庫ナツイチ】浅田次郎さんの小説は久しぶり。百貨店の婦人服課長の椿山が突然死してしまうところからストーリーが展開。妙にコミカルな冥土の世界に、初七日の間に限定して現世に(全くの別人として)送り返してもらえる制度。椿山課長のほかに、やくざの組長と交通事故で死んでしまった幼き少年が現世にやってきて、それぞれの「家族」の繋がりを辿ることになる群像劇。これは期待した以上に面白かった。ホテルに置いて帰ろうと思ったけど、持って帰って妻にも薦めよう。
読了日:08月20日 著者:浅田 次郎


科学者はなぜ神を信じるのか コペルニクスからホーキングまで (ブルーバックス)科学者はなぜ神を信じるのか コペルニクスからホーキングまで (ブルーバックス)感想
宇宙の真理を解明する物理学の分野の発展を俯瞰しつつ、代表する科学者と宗教ー神との距離感を見ていく。理論的な部分の説明はアインシュタイン以降、量子宇宙論の時代に入ってくるとやはり難解。いずれにしても、宗教との話は完全に西洋的な価値観だなと改めて思わずにはいられない。ただ、無宗教(敢えて言えば仏教)な僕でも、宇宙の始まりと言えば「神」の話題になっても違和感はないから不思議だ。知的好奇心を満たしてくれる良書だった。
読了日:08月20日 著者:三田一郎


ミッキーマウスの憂鬱 (新潮文庫)ミッキーマウスの憂鬱 (新潮文庫)感想
新潮文庫の100冊】ディズニーランドでのバイトって実際に人気が高いわけだけど、夢を持って採用されてみたら裏方だった21歳男が主人公のお話。実は勤務開始後たった3日の間の話で、そんなのあるか?という感じはするけど、天然な主人公の雰囲気が支えになっている。ディズニーというと、何々を学んだ的な自己啓発系になりがちなところ、こういうエンタメ小説は意外に新鮮だった。ほんのり「会社(正社員)対非正規」な側面もあるが、まあ肩の力抜いて読むのが正解。
読了日:08月20日 著者:松岡 圭祐


室町繚乱 義満と世阿弥と吉野の姫君 (集英社文庫)室町繚乱 義満と世阿弥と吉野の姫君 (集英社文庫)感想
集英社文庫ナツイチ】ライトノベル調の時代小説。幕末などのよくある時代ではなく、室町幕府による南北朝の対立が続く足利義満の時代。主人公は南朝内親王である椿の宮。若き足利義満と将来の世阿弥が絡んで話が展開し、ゆくゆくの南北朝統一への進展を窺わせる話になっている。会話の端々にラノベな雰囲気を漂わせて軽いタッチで読ませるも、妙な要素は絡むことなく小説としてきっちり読ます。これなら時代小説と構えることなく幅広く受け入れられそうだ。期待を超えてくれた一冊。
読了日:08月21日 著者:阿部暁子


受験脳の作り方―脳科学で考える効率的学習法 (新潮文庫)受験脳の作り方―脳科学で考える効率的学習法 (新潮文庫)感想
新潮文庫の100冊】元々は『高校生の勉強法』として出ていた本。脳科学で分かっている脳の働きなどを基にして、科学的に「効率のよい」勉強法を綴る。ハウツーなんだけど、数多く挿入されたコラムが楽しい。自分がやや偏っていたようだということや、年齢によって記憶方法も違うという点を知れたのはプラス。子供に経験記憶に基づいたアプローチしても駄目なことも分かった。自分事として受験勉強をすることは無さそうだけど、子供の勉強を見るなら知っておいた方が相当よい知識が盛りだくさんだったな。
読了日:08月23日 著者:池谷 裕二


火花 (文春文庫)火花 (文春文庫)感想
芸人又吉直樹芥川賞受賞ということで話題になった一冊。芥川賞作品は肌に合わないことが多いけど、これは読みやすい。売れない若い漫才師という個人的に好きなテーマだからだろうか。エンタメ性は薄いけど、実感も感じさせて普通にいい出来じゃないかな。ただ、作家としてよりテーマで読めた感じは否めない。
読了日:08月24日 著者:又吉 直樹


さよならドビュッシー (宝島社文庫)さよならドビュッシー (宝島社文庫)感想
中山七里さんの音楽シリーズ。人物でシリーズ間が繋がる中山作品の一端を見れたことで個人的満足が一つ。内容としてはミステリとしては正直疑問がないわけではないが、音楽モノとしては思わず聴きたくなってしまう演奏の描写に大満足。主人公の弾くドビュッシーより、岬洋介の弾くベートーベンのピアノ協奏曲三番英雄が聴きたいというのは、まあ、やむ無し。
読了日:08月25日 著者:中山 七里


海と毒薬 (新潮文庫)海と毒薬 (新潮文庫)感想
新潮文庫の100冊】戦時中の生体実験という事象に対し、積極的に(主導的に)というよりも、消極的に巻き込まれる形で(とは言え自己に選択権はあったという意味で責任は等しい)関与した3名の心情を描きながら良心とか罪とかを扱う。小説として好きかと言えば全然好きじゃない。自分は戸田君と同じタイプだろうが、そういう人間にはますます本作のような話は響きにくいだろうな。
読了日:08月26日 著者:遠藤 周作


許されざる者 (創元推理文庫)許されざる者 (創元推理文庫)感想
スウェーデンの重鎮作家によるミステリー。解説によれば同じ登場人物の若かりし頃の話でシリーズ物もある模様。法改正によってギリギリで時効の対象になってしまった9歳の少女が暴行され殺害された事件を、脳梗塞で倒れた元国家犯罪捜査局の長官が解決に乗り出す。安楽椅子探偵系かと思いきや、自ら動かないと気が済まないタイプ。ただ、独特な文章や展開が好みの分かれるところと思う。個人的には結構読み進めるのがシンドくて寝落ちも数回。北欧物って徒らに陰気な空気を醸す気がするのは思い過ごしか?
読了日:08月28日 著者:レイフ・GW・ペーション


NHK 100分 de 名著 for ティーンズ 2018年 8月 [雑誌] (NHKテキスト)NHK 100分 de 名著 for ティーンズ 2018年 8月 [雑誌] (NHKテキスト)感想
NHKの100分de名著が夏休み用として、ティーンズ向けの名著紹介なった。帰国などもあったため放映は見ずに読むのみとなったが、それでも充分満足いく内容。小学5年生の息子にも読ませたいが少し早いか。でも、どれも読んで欲しい本だし、個人的に読んだことないながら読みたいと思った『ソロモンの指輪』はAmazonでポチッといっとく。息子にも頑張って読ませよう。
読了日:08月28日 著者: 


砂の王宮 (集英社文庫)砂の王宮 (集英社文庫)感想
集英社文庫ナツイチ】戦後の混乱期から、その商才で商機を捉えながら蓄財し、スーパーマーケットから、やがて一代で流通王となった主人公塙の生涯を描く。20年近く前に商店街についての論文を書いたことがあるが、今さら読んでもやや時代が変わった感がある。とはいえ、やはりカリスマ創業者の後継問題が普遍的でいつ読んでも刺さる。後継が育たなければ、まさに「砂の王宮」と化す。共同事業の難しさも絡めつつサスペンスタッチで描かれる部分もあり、エンタメ経済小説として存分に楽しめた。
読了日:08月29日 著者:楡周平


音量を上げろタコ! なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!! (角川文庫)音量を上げろタコ! なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!! (角川文庫)感想
【角川文庫カドフェス】カドフェスに入っていたので読んでみた。ラノベっぽいご都合展開で進むことはまだしも、主人公(23歳)の心情に重ねた厨二っぽい言葉選びが鼻につき過ぎたために、読み込む気が失せ相当流し読み。タイトルからは、もっと音楽要素が強いことを期待していたのだが、その意味でも期待に適わず残念。
読了日:08月30日 著者:三木 聡

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