知磨き倶楽部

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2018年6月の読書メモ

2018年6月に読んだ本をまとめてご紹介しておきます。小学5年生の息子用に買った児童書にも手を出したこともあって、31冊の本を読みました。その中で、お勧めを3冊だけ挙げさせていただくと、 

考え方の基本を叩き込んでくれます。実践しないと全く意味ない類の本ですが、人生100年時代と言われる今、実践しないなんて考えられませんし。

 

贖罪の奏鳴曲 (講談社文庫)

贖罪の奏鳴曲 (講談社文庫)

 

シリーズ物の第一弾になります。このシリーズは外れなく全て面白いのですが、第一弾の本書だけ挙げておけば、続きも読みたくなることは必至です。

 

革命前夜 (文春文庫)

革命前夜 (文春文庫)

 

昭和から平成に変わり、東西冷戦の象徴であったベルリンの壁が崩壊するという時期の東ドイツを舞台としており、基調としては暗いものの、物語の芯が太くて惹き込まれます。

 

お勧めとは違いますが、読書メーターに投稿した際に好反応だったものも挙げておきます。

1位:

2位(同率): 

流 (講談社文庫)

流 (講談社文庫)

 
生きている理由 (講談社文庫)

生きている理由 (講談社文庫)

 
漂流街 (徳間文庫)

漂流街 (徳間文庫)

 
贖罪の奏鳴曲 (講談社文庫)

贖罪の奏鳴曲 (講談社文庫)

 
中学生に読んでほしい30冊 2018 (新潮文庫)

中学生に読んでほしい30冊 2018 (新潮文庫)

 
恩讐の鎮魂曲 (講談社文庫)

恩讐の鎮魂曲 (講談社文庫)

 

 


礼儀正しく、的確に伝える 敬語の英語礼儀正しく、的確に伝える 敬語の英語感想
それぞれ決して難しい英語ではないのだが、咄嗟に口に出来るように繰り返し使っていかないといけない。一部知ってないと言われた時に「ん?」となるものがあったので、その辺は要注意だな。ただ東南アジアなどで、お互いに第二言語で話す時には使い所も考えないといけない。Would you mind〜で「イス借りていいですか?」と聞いたら、経験上、「いいですよ」のつもりでYesと返ってくる。
読了日:06月02日 著者:デイビッド・セイン,佐藤淳子


よろこびの歌よろこびの歌感想
女子高生たちの奏でる爽やか青春物語。硬い殻を纏っていた玲の殻にヒビが入ったのは、マラソン大会でのクラスメイトの応援。それぞれの人物の視点で各章が切り替わり、お互いの目線でだんだんと距離が縮まっていく様がよく感じられる。合唱っていいよなあと単純に思うんだけど、こうやって人間関係まで近づいていくんだよね。若さも素晴らしい。
読了日:06月03日 著者:宮下 奈都


終わらない歌 (実業之日本社文庫)終わらない歌 (実業之日本社文庫)感想
『よろこびの歌』の3年後を描く続編。個人的には前作よりも断然いい。とにかく玲の歌うブルーハーツが聴きたくて堪らない。そこに至ったまでの色々な葛藤も何もかも全部含めて味わいたい。最終章は読んでて震えが止まらなかった。
読了日:06月03日 著者:宮下 奈都


改訂版まんがでわかる偉人伝 世界を動かした202人 (ブティック・ムック)改訂版まんがでわかる偉人伝 世界を動かした202人 (ブティック・ムック)感想
教養として名前も知らないでは恥ずかしいほどの有名人ばかり。子供には伝記をもっと読んで欲しいのだけれど、なかなか自主的には読まないのでこの本で様子見。ただ、一読では子供が消化不良を起こしてしまうかもという情報量。うちでは毎日少しずつ読ませているけれど果たして?
読了日:06月05日 著者:よだひでき


流感想
3年ほど前に購入した時は、暗く淡々とした基調が合わずに挫折した一冊。ふと思い出して再度読んでみたが、今回は割りとすんなり物語に入れて一気読みに近い勢いで読了。まだ台湾が今のような発展を遂げる前の時代が主な舞台(行ったことないから今の発展も直には見てないけど)。祖父を殺された主人公の犯人探しを芯にしつつ、何というか負のエネルギーも撒き散らしながら描かれる青春物語という感じ。盛り上がりには欠けた感があるが面白かった。
読了日:06月06日 著者:東山彰良


世界のエリート投資家は何を考えているのか、何を見て動くのか【電子オリジナル版】世界のエリート投資家は何を考えているのか、何を見て動くのか【電子オリジナル版】感想
資産運用に関するアドバイスというより、より良い人生を送るためのアドバイスをお金の面から説く。読んですぐやるべきことは明確だ。注意すべきなのは、本書の具体的なアドバイスは、アメリカの制度を前提にアメリカ人向けに書かれたものであるという点。日本人として適用されるゲームのルールを知らなくてはいけない。その意味で、巻末の山崎元氏による日本人読者に向けた解説も必読。僕は日本国内に住んでいないけど、やるべきことをやるのみ。
読了日:06月10日 著者:アンソニー・ロビンズ


アウトバーン 組織犯罪対策課 八神瑛子 (幻冬舎文庫)アウトバーン 組織犯罪対策課 八神瑛子 (幻冬舎文庫)感想
女子大生刺殺事件から中国人女性の刺殺事件。主人公の八神瑛子は目的のためなら裏社会との繋がりも厭わないやり方で警察内部でも問題視されている。とはいえ、思ったほどじゃないなあと読み進めるうちに真犯人の捕り物場面になっていて、なんでそこに辿り着いたんだったか印象が薄い。ミステリとしては今一つか?主人公にもあまり感情が湧かずだなぁ。
読了日:06月10日 著者:深町秋生


生きている理由 (講談社文庫)生きている理由 (講談社文庫)感想
川島芳子が男装するようになるまでの経緯を史実に基づいて小説としたもの。本来そこに何があったのかは知り得ないからこそ、史実とフィクションの間をうまく繋いでいる。当時の激動感も感じつつ手に汗握る展開と純愛に惹きつけられて一気読み。面白かった。
読了日:06月12日 著者:松岡圭祐


週刊エコノミスト 2018年06月19日号 [雑誌]週刊エコノミスト 2018年06月19日号 [雑誌]感想
Kindle Unlimited】どうしても東南アジア経済中国経済関連のニュースに意識を割く日々だが、日本経済のことも忘れちゃいけない。「学び直し」とタイトルにある通りにだいぶ基礎的な部分から入った記事もあって、本誌を読む中心層とミスマッチじゃないかと思う部分がないでもないが、個人的には助かる部分もあり。
読了日:06月13日 著者: 


宇宙兄弟 「完璧なリーダー」は、もういらない。宇宙兄弟 「完璧なリーダー」は、もういらない。感想
組織開発ファシリテーターの著者が、大人気漫画『宇宙兄弟』の各場面を取り上げながら、現代にあったリーダーシップを説く。強烈な個性を持つ起業家ではない、組織人として発揮するリーダーシップとしては共感しやすいかも。漫画が題材だと分かりやすい一方で軽い感じは拭えない。さらっと読了。『宇宙兄弟』大好きだから楽しんだけど。東南アジアでもワークするのかなぁ(物凄くヒエラルキー型の組織運営をローカルには求められている)。。
読了日:06月13日 著者:長尾 彰


漂流街 (徳間文庫)漂流街 (徳間文庫)感想
内容紹介で「(日本に出稼ぎに来た日系ブラジル人の)マーリオは、中国マフィアと関西やくざの取引の隙に、大金と覚醒剤をかすめ取ることに成功。怒りと絶望を道連れに、たった一人の闘い──逃避行がはじまった」とあるが、成功するまでの道程で一つの小説ほどの重厚さ。金を中心に狂っていく(狂っている)人間達の暗くドロドロした感情のドラマ。馳星周の作品は初めてだけど読み耽った。
読了日:06月14日 著者:馳星周


鈴木ごっこ (幻冬舎文庫)鈴木ごっこ (幻冬舎文庫)感想
2500万円の借金を弁済する代わりに「鈴木」として1年間見知らぬ他人と家族のフリをして生活する、というシチュエーションが「あり得るかも?」という匙加減で惹かれた。各章が集められた各人の視点で語られ、ここに至った背景などが本人の回想として明らかになる。この奇妙な生活を通して、何故だかそれぞれ健康になり人間的な成長すら見せ始める。家族ごっこの結末は「まあ、そうだろうな」と腹落ちするけど、「最後の7行」は納得いかない感じ。
読了日:06月15日 著者:木下半太


魔導の系譜 (創元推理文庫)魔導の系譜 (創元推理文庫)感想
魔導士が差別されている世界で、三流魔導士と才能溢れる弟子(ただし差別対象となる異民族)を軸に、師匠と弟子のそれぞれの人間的な成長を描く。魔法やら三流のクセに実は優秀とかの設定からラノベ的かと思ったが、変なお約束的展開にならずにしっかりとした軸を持って進むので、読み進むにつれて引き込まれた。面白かったがシリーズ通して読むかというと微妙。本作で一応満足する終わり方でもある。
読了日:06月16日 著者:佐藤 さくら


クリスティアーノ・ロナウド 生きる神話、知られざる素顔クリスティアーノ・ロナウド 生きる神話、知られざる素顔感想
スポーツジャーナリストの竹澤氏が長年の取材に基づいて纏め上げたクリスティアーノ・ロナウドの全て。ポルトガルサッカー史の流れからロナウドを位置付けるなど壮大。家族や周辺への直接取材に基づいて幼少期から見ていくが、本人への直接取材は殆どないと思われる(伝聞形や他ソースからの引用)。それでもワールドカップ開催中に世界最高の選手のことを知っておくのはこれ以上ないタイミング。俄かミーハーでも本書を基にロナウドについて語ればサッカー通に見せられるでしょうw
読了日:06月19日 著者:竹澤哲


贖罪の奏鳴曲 (講談社文庫)贖罪の奏鳴曲 (講談社文庫)感想
主人公の御子柴弁護士の過去に犯した事件とその後を詳細に描くことによって心理的な深みを出しているが、現実に扱っている事件のミステリ性についてはアッサリ感がある。御子柴弁護士のシリーズ物第1作らしいので、人物造形に重きを置いたかな? だとしたら成功。次作以降での御子柴弁護士を読んでみたくなったから。
読了日:06月20日 著者:中山七里


スケートボーイズ (実業之日本社文庫)スケートボーイズ (実業之日本社文庫)感想
全日本ジュニアなどで活躍したが怪我のブランクでトップランクからは一歩退いてしまった主人公の大学フィギュアスケートの話。フィギュアはミーハーながら好きだった時期があるので設定からして楽しめた。青春小説としても爽やかで王道。フィギュアを取り巻く甘くない現実も踏まえつつイッキ読みさせられた。
読了日:06月20日 著者:碧野 圭


長考力 1000手先を読む技術 (幻冬舎新書)長考力 1000手先を読む技術 (幻冬舎新書)感想
佐藤康光九段の将棋観を存分に知ることのできる一冊。ただ、自分の将棋に活きるのかと言えばそうでもなし、ビジネスなどに幅広く活かせるかと言えばそうでもなし、という感じ。羽生世代と呼ばれ、間違いなく一流棋士の一人である著者のエッセイは将棋ファンとしては楽しめたが、そうでなければ手に取れない本かも。その辺は羽生善治氏の『決断力』などが将棋ファンを超えてビジネス書としても読み解ける点とはやや異なる。
読了日:06月20日 著者:佐藤康光


革命前夜 (文春文庫)革命前夜 (文春文庫)感想
昭和が終わった時、ベルリンの壁崩壊直前の東ドイツにピアノ留学をした主人公の眞山柊史。当時の東ドイツの陰鬱とした空気と、歴史に裏打ちされた本物のクラシック音楽とが物語を紡ぎ出す。バッハとか重たいイメージだし、この舞台設定にピッタリだなあと思う。天才の集まる音楽大学。世相ゆえか、留学生なのに政治的な動きとも切り離され得ない。どこにどう着地するのか。ラストまでグッと引っ張られた。
読了日:06月22日 著者:須賀 しのぶ


将棋世界 2018年7月号(付録セット)[雑誌]将棋世界 2018年7月号(付録セット)[雑誌]感想
名人戦の観戦記ももちろん読み応えがあるが(第76期は佐藤天彦名人が防衛)、読み物として中原誠16世名人の新連載が面白い。横歩取り青野流はもう少し読み込みが必要か。なんか最近のネット将棋で四間飛車とか三間飛車を指される方と当たることが多くて、あんまりこの戦法に導入できないけど(相手が青野流で来ることもほぼ無いし)、一回試してみたいなとは思う。
読了日:06月23日 著者: 


マイホーム価値革命 2022年、「不動産」の常識が変わる NHK出版新書マイホーム価値革命 2022年、「不動産」の常識が変わる NHK出版新書感想
マイホームに異様な信仰を抱いている中年以上の層が読むといい。本人は手遅れになっている場合もあるかもしれないが、自分自身のためだけではなく、古い価値観を自分の子供世代に押し付けないためにも。僕自身もマイホームについては資産価値としての検討ではなく、効用価値としての検討というか精神的価値で考えた方が良いと思っていて、基本的には著者の考え方と同じ。混ぜると訳が分からなくなるから。
読了日:06月24日 著者:牧野 知弘


中学生に読んでほしい30冊 2018 (新潮文庫)中学生に読んでほしい30冊 2018 (新潮文庫)感想
息子の日本語読解力を養うためにいい本を探したくて眺めてみる。自分が小学校の高学年から中学生になろうとする頃に読んだ本の記憶って全然ないんだよなぁ。30冊のうち1/3ほどは海外の名作だが、元が児童書ならこれらは英語で読ませよう。日本語書籍を順番に。僕自身も読んだことない本もあれば忘れてしまった本もあるから一緒に読むか(英語の方は着いていくのが大変過ぎるからサボろう。。汗)。
読了日:06月24日 著者:新潮文庫編集部


終わった人 (講談社文庫)終わった人 (講談社文庫)感想
我が身を思わずにはいられず辛く苦しい「定年」小説。僕は今のまま過ごせば、まず間違いなく定年後の壮介と同じ状況になるだろう。違うなと思うのは、その後のジェットコースターのような一山(老年の恋心含む)が僕にはないだろうなということか。そんなもんと受け入れるほど達観してはないからこそ、辛くて苦しいんだろう。いやあ、ズシンと響く「いい」小説だった。
読了日:06月25日 著者:内館牧子


はじめてのプログラミング (学研まんが入門シリーズ)はじめてのプログラミング (学研まんが入門シリーズ)感想
小学5年生の息子用。主人公の少年も小学5年生でゲーム好きということで、レベル的にも内容的にも取っつきやすいかなと。結果、息子もScratchによるプログラミングに興味を持ったようで、読了後に「一緒にやってみてくれない?」との声が。疎いおっさんには結構ハードな内容にも思えるのだが、今どき小学生にはそうでもないのかも。まずは一緒にやってみるという第一歩が踏み出せそうで、狙った効果はクリア出来たようだ。
読了日:06月25日 著者:橋爪 香織


プライベートバンカー 驚異の資産運用砲 (講談社現代新書)プライベートバンカー 驚異の資産運用砲 (講談社現代新書)感想
清武氏の『プライベートバンカー』に実名登場していた本物のプライベートバンカーが、プライベートバンカーとは何か、プライベートバンカーを利用する富裕層の資産運用法とはをメインに紹介する。読み物としては清武氏の本より上。ただ一般人にとって実践的な部分はほぼない。僕を含む大半の人には分散投資ドルコスト平均法、手数料コストの最小化といった原則紹介のみが直接的なアドバイス。先日読んだアンソニー・ロビンス氏の著書の方が実践を考えるには有益(原則は一緒)。
読了日:06月25日 著者:杉山智一


NHK 100分 de 名著 アルベール・カミュ『ペスト』 2018年 6月 [雑誌] (NHKテキスト)NHK 100分 de 名著 アルベール・カミュ『ペスト』 2018年 6月 [雑誌] (NHKテキスト)感想
ノーベル賞作家のカミュだけど、これまでに一冊も読んだことがない。たまたま『リウーを待ちながら』という漫画を読んで『ペスト』に興味を持ったところに本書が発売されたので飛びついた。100分で名著シリーズも初めてだったので放映に合わせながら読んだが、これはかなりいい。『ペスト』を単に読むよりも、カミュの不条理の哲学も含めた背景を知ることができてより理解が出来る。次月の対象は興味が持てないけど、これは今後要チェック。『ペスト』も今の僕らも読むべき傑作だと知った。
読了日:06月26日 著者: 


ベートーベンと名探偵! タイムスリップ探偵団音楽の都ウィーンへ (講談社青い鳥文庫)ベートーベンと名探偵! タイムスリップ探偵団音楽の都ウィーンへ (講談社青い鳥文庫)感想
小学5年生の息子用。話の内容は児童書だが、時々挿入されるクイズで知識も楽しみながら付けていけるのがいい。出てくるのも子供受けがいい「運命」だから親しみやすい。個人的にはモーツァルトとの方が好きなのだが、久しぶりに運命を聴きたくなった。子供より先に読んでしまって、まだ息子の感想を聞けないが、親としてはシリーズで買っていきたいと思う出来。
読了日:06月26日 著者:楠木誠一郎


風かおる (幻冬舎時代小説文庫)風かおる (幻冬舎時代小説文庫)感想
妻敵討ちのために致仕した出世街道を歩んでいた武士が、10年の旅の末に敵討ちを果たして帰ってきた。招かれざる身と知りながら、妻敵討ちを焚きつけた者との果し合いのために。病で果し合いどころではない状態の義父を止めようと奔走するかつての養女。果し合いの相手は誰なのか。何故そこまでして果し合いをする必要があるのか。事情を調べるうちに知らなかった義父の一面と「罪」が分かってくる。。相手は途中でほぼ分かったが、事情を知るに遣る瀬無い気持ちになる。イッキ読み。
読了日:06月26日 著者:葉室麟


追憶の夜想曲 (講談社文庫)追憶の夜想曲 (講談社文庫)感想
御子柴弁護士シリーズ第二弾。退院した御子柴弁護士が無理矢理にでも取り組もうとする事案は、普段の彼の選択基準には全く当てはまらないように見える事案。金にもなりそうもなく、宣伝効果がさほど見込めるわけでもなさそうな事案に何故取り組むのか。依頼人となった女性が御子柴にも隠し続ける秘密とは。途中で犯行自体の真相は読めたけど、そうか、取り組みたかった理由はそこにあったのか。。対決相手となった岬検事との再戦はあるのか?本件後の御子柴弁護士がどうなるのかが気になる。
読了日:06月28日 著者:中山七里


恩讐の鎮魂曲 (講談社文庫)恩讐の鎮魂曲 (講談社文庫)感想
御子柴弁護士シリーズ第三弾。前作の事案で法廷において過去の少年犯罪の事実が公になってしまった御子柴。仕事が激減して近づいてきたのは別の作品に登場する暴力団幹部の山崎。思わずニヤリとしてしまう。ただ本作の事案は暴力団ではなく、御子柴の恩師である稲見教官の弁護。無理矢理担当になり、いつもと違って感情を昂らせたりする御子柴と、弁護に非協力的な稲見。裏が明らかになるところでお得意の「どんでん返し」が一度ならず炸裂するが、御子柴が独自に「捜査」して真相を解き明かす筋がやはり面白い。次回作も期待高し。
読了日:06月29日 著者:中山七里


七転びダッシュ! 1 約束 (講談社青い鳥文庫)七転びダッシュ! 1 約束 (講談社青い鳥文庫)感想
小学5年生の息子用。小学校時代の仲良し3人が、一緒に中学の陸上部で頑張ろうと約束して入学したところから始まる。なのに、学校の陸上部の様子はおかしいし、3人の約束もいつの間にか危うい状況。主人公の「いかにも」な男子(跳くん)は戸惑い空回りするばかり。そんな主人公の男の子の内面の成長と、若い友情物語なんだろうなあと。息子は「まあまあ面白かったけど、最後が変」と。まだ序章なんだろうけど、本人が望まない限りは無理に続きを買わなくてもいいかな。。
読了日:06月29日 著者:村上しいこ


女神のタクト (講談社文庫)女神のタクト (講談社文庫)感想
仕事も恋人も失った傷心の30歳女子が、無目的な旅の途中で出合ったひょんな機会。生来の行動力と集中力を発揮しながら、いつの間にか潰れかけのオーケストラの立て直しをリードすることに。再建を通して、名声を得たのに何故か突然引退してしまった若き天才指揮者と主人公明菜が、それぞれ心に抱えていた傷を消化し昇華する話。思わずクスリとしてしまう箇所を随所に散りばめつつ、最後は感動に持っていく展開にイッキ読み。読後の今は、ラフマニノフのピアノ協奏曲第3番を聴くしかないね。
読了日:06月30日 著者:塩田武士

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