知磨き倶楽部

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話のネタ作りにもってこい!? - 子供と読書 - ジュニア空想科学読本10

僕は以前、岡田斗司夫氏の『東大オタク学講座』を何度も読み返していました。内容自体の面白さもさることながら、講座開講当事に在籍していながら、その存在すらも認識していなかった自分への不甲斐なさもあいまって、この本には特別な感情を持っています。

その中で、岡田氏がオタクというものを以下のように定義付けしています。

対象と自分との関係を振り返り、それらが自分にとってどういうものなのかを考えて再配列している。 

 

あまり厳密な定義ではないのですが、今回ご紹介する「空想科学読本」シリーズの著者である柳田理科雄氏は、オタクの範疇に括ることが出来そうです。

マンガ、アニメ、ゲームなどに出てくるネタを対象に、「それを現実世界で起こるものとして科学的に検証する」というのは、端から見れば馬鹿げています。しかし、それを大真面目にやってしまうところに、ある種のオタク性を感じずにはいられませんし、だからこそ僕は気になってしまいます。

 

別に、息子にもマンガやゲームにこういうスタンスで接して欲しいなどという気持ちは毛ほども持っていませんが、何年か前にも息子用に買った際には、あまり響いていた感じはしませんでした。ただ、最近久しぶりに買ってみたところ、以前よりは面白そうに内容を話していますので、軽くご紹介しておきます。 

最新作は本記事執筆時点で12作目まで刊行されているようですが、今回ご紹介するのはシリーズ10作目。 掲載されているのは以下のネタを対象にした内容です。

ウルトラマンは怪獣を倒して飛んでいきますが、その後どうやって帰ってくるの?

『マインクラフト』の主人公たちは素手で木を切り出すけど、あまりに豪腕ではないですか?

ドラゴンボール』に出てきた「重力100倍の部屋」での修行。実際にやったら鍛えられますか?

君の名は。』などで描かれた「男女の入れ替わり」現象。本当に起こったら、どうなるの?

ONE PIECE』劇場版で、ギルド・テゾーロが大量の金を操っていました。金の価値はどれくらい?

『眠りの森の美女』のお姫さまは、針で刺しただけで眠りにつきました。そんなに効くツボみたいなものがあるのですか?

ドラえもん』の四次元ポケットのなかは、どうなっているのでしょうか?

「学問の神様」太宰府天満宮の「飛梅」は、一晩で京都から飛んできたそうですが、梅にそんなことができますか?

ダイの大冒険』のフレイザードは、右半身が氷、左半身が炎です。お風呂に入ったら、お湯になる?水になる?

バタコさんは、アンパンマンの新しい顔で古い顔を弾き飛ばします。それ、意外と難しくないでしょうか?

どうぶつの森』シリーズの登場人物の言葉が早口すぎて、何を言っているのかわかりません。

妖怪たらりんに取り憑かれたジバニャンは、鼻血で飛びました。どれほど鼻血が出たんですか?

進撃の巨人』に登場する立体機動装置。あれで実際に巨人を倒せるでしょうか?

銀魂』の神楽はムチャクチャ強いです。科学的に、その強さが計算できますか?

『エルマーのぼうけん』のどうぶつ島の生態系が心配です。食物連鎖を成り立たせるには、どの動物がどのくらいいればいいですか?

サザエさん』の波平さんはアタマの真上に髪が一本だけ! 不安ではないのでしょうか?

『怪傑ライオン丸』の忍法獅子変化では、頭だけライオンに変身します。それで強くなるのでしょうか?

名探偵コナン』の蝶ネクタイ型変声機。本当にあったら、すごく便利でしょうか?

月でウサギが餅をついている、という話がありますが、月で餅がつけるものですか?

となりのトトロ』で、トトロはコマに乗って空を飛びました。コマで空が飛べるのですか?

仮面ライダー』にはいろいろな植物怪人が登場します。植物が怪人になって、活躍できますか?

トムとジェリー』で、トムはローラーに轢かれてペッタンコになっても、すぐ元に戻ります。なぜですか?

ポケモン・サン・ムーン』で、おなじみのポケモンたちが微妙に姿を変えているのはなぜ!?

銀河鉄道999』では、列車で宇宙へ飛び立ちましたが、あの方法はアリなのでしょうか?

アニメ『こち亀FINAL』で、両さんは自転車で東京スカイツリーに登りました。そんなことが可能?

幸福の王子』では、優しいツバメが死んでしまいます。助かる方法はなかったのでしょうか?

斉木楠雄のΨ難』はどんな超能力でも使えますが、実際にできたら便利でしょうか?

サンダーバード』のジェットモグラのような地底戦車はなぜ実現しないのでしょう?

幽☆遊☆白書』の戸愚呂弟は、どんどん筋肉量が増えましたが、どのくらい強くなったの?

怪獣図鑑には、怪獣たちの「出身地」が載っていました。いちばん多いのはどこですか? 

いやあ、盛り沢山です。中には、「科学的なの?」と思うネタもないわけじゃないですが、色々と工夫を凝らして「科学的」に検証していきます。

 

ただ、時代が古すぎるネタがあったりして、正直元ネタを全部知っている対象読者がいるとは思えないですね。 僕も元ネタ知らないものが少なからずあるのですが、元ネタを知らないとあまり楽しめないというのが率直な感想です。

逆に元ネタを好きすぎるファンには、「そんなくだらないこと言ってんじゃないよ」という反感買うかもしれないネタもあるかもしれませんが、そこは生暖かく読んでいただければ。

 

でも、今回の僕の中での一番のヒットは元ネタを全く知らない『斉木楠雄のΨ難』に関するものでした(汗)

あまり本論に関係なさそうなんですけど、「乗っているエレベーターが落ちてしまっても、地面に衝く瞬間にジャンプすれば傷を負わない」という嘘を科学的に検証しています。

これ、そう思ったことってありませんか?(笑) 僕は、ちょうど息子と最近同じことを話したところだったので、まさにツボ。 結構大丈夫そうな感じがしてるし、息子にも「タイミングさえ間違えなければ大丈夫!」と強く言い切ったんですけど、やっぱり駄目ですか・・・(理由は本書をお読みいただければ) ああ、父親の威厳がw

 

息子も純粋にいくつかのネタを楽しんで読んだようでしたが、気になるネタがあれば楽しめるでしょう。 また、読書後に子供と一緒に話すネタとしては軽い割りに広がりももてるので楽しいですよ。

 

 ■ 編集後記

今回読んだネタの中では、『君の名は。』は、割と最近観る機会がありました。妻と子供は以前に観たことがあったようですが、評判に違わずいい映画でした。

君の名は。

君の名は。

 

息子は既にKindleで小説の方も読んでいたようです。 

 

君の名は。 (角川つばさ文庫)

君の名は。 (角川つばさ文庫)

 

ただ、空想科学のネタとしてはイマイチだったかなと。。。(汗)